「やさしさ」を含む小説

――なんか、小さく息を潜めてる、ちょっとだけこわい存在たち―― そんな「ちいさな怖さ」と「ちいさなやさしさ」を集めた短編集です。 世の中には、理由もわからないまま「こわいな」と思…

夜の山あいにある、知る人ぞ知る名湯「おでんのゆ」。 だいこんさん、たまごさん、こんにゃくさん、がんもどきさん―― そこへ新入りのちくわぶくんがやってきます。 じんわり、ゆっくり…

おひるねの時間、ミオちゃんの毛布に小さなしみ。 先生のていねいな手洗いと、友だちの笑顔が重なって、 午後の保育園はあわあわのやさしさで満たされていきます。 「だいじなのは、こぼ…

ガイドという特殊な能力を持つエリオットは、領主館に幽閉され、その癒しの力を搾取されていた。 能力の枯渇で瀕死の淵に立ったエリオットを救ったのは、皇帝の守護者・センチネルのルーカス…

放課後の静かな公園で、高校生・佐藤康太はひとり過ごしていると、翅のない小さな妖精・エレナと出会う。 翅を失い、誰にも見えず、声も届かなかった孤独な彼女と、心の隙間を抱える康太。 …

騎士団をクビになり、婚約もパー。 パンを食って寝るだけの生活に憧れて、辺境の村に引きこもった俺に――神殿ができていた。 俺に必要なのは、静かな昼寝と、パンと、猫だけ。 ……その…

手に人って書いてみなよ。

真木は、路上で見知らぬ若者・友李からナイフを向けられる。 その夜、友李の悲しい身の上話を聞いた真木は、彼を助けたいと思った。 だが、そのやさしさこそが真木の弱点だった――。 真木…

秋の朝、急ぐ途中で出会った小さなできごと。 4年生のユウキくんは、ランドセルを落とした女の子を助けます。 そのせいで遅れそうになったけれど、彼が口にした「まわり道だって、ちゃんと…

『かぜのいえ』は、母の表情を読みとる小さな“天気予報士”の子どもが、 長い沈黙の中で、自分の声を見失い、やがて再び取りもどしていくまでの 静かな心の旅を描いた詩的絵本です。 風…

森のはずれにひとりで暮らす小さなハリネズミ。 ある夜、彼のもとに“光るたね”が降りそそぐ。 そのたねが告げた言葉は――「やさしさで、心のなかに咲かせよう。」 意味もわからぬまま…

ある朝、世界から色が消えた。 灰色の森、灰色の海、灰色の空。 「大魔王サタンが、この世界の色を盗んだのさ」―― 風の声に導かれ、絵かきの少年は金の目のネコとともに、七つの色を取り…

北国の小さな町。誰もが沈黙を選び、少女だけが痛みに名前を持っていた。 春日 灯、十七歳。孤独を避けるように図書室に通う彼女の前に、ある日、旅人が現れる。 穏やかな声、影のない笑み…

あなたと過ごす かけがえのない日々

「君の食べる姿が好きだった」 それは、何気ない日々の中で私が見つけた、いちばん美しい光景だった。 スイカ、かき氷、栗、うどん――季節ごとに変わる食べ物とともに、少年と過ごした時間…

つながりへの渇望と傷つくことへの恐れの板挟みで苦しみながらも、やむなく選び取った薄っぺらいやさしさ。 これは果たして本当の優しさなのか。その正当性を問う。 優しさをテーマにした…

身体に宿る地球の命と、意識の広がる宇宙を見つめる、静かで美しい詩。

今夜は「中秋の名月」。 ユイちゃんは、おばあちゃんといっしょにお月見の準備をしていました。 けれど、空には大きな雲。 まんまるのお月さまは、なかなか顔を出してくれません。 ――…

なんとなく呼ばれた気がした場所――古びた神社。 引っ込み思案の少年ナオは、そこで思わぬ力「オルド」を覚醒させ、 異世界へと導かれる。 混沌に満ちた「渡りの大地」で、ナオの小さな優…