※※62話まで読んだレビューです。
いきなり婚約破棄と騎士からの除名を宣告され始まるこの物語。
普通であれば歓迎なんて到底できないのだが、主人公ルークは待ってましたとばかりに受け入れる。
そして訪れた辺境の村。
そこでルークはのんびりまったり昼寝三昧の隠居生活を送ろうと試みるのだが、ルークの持つ“世界調律”という特殊な力がそれをさせない。
スタートから設定とテンポの良い文章に引き込まれる。
また、“世界調律”という特殊能力を巡る人々の想いや過去の断片、仕組みが明かされて行くに従ってルークが婚約破棄を半ば望み、歓迎したのかが分かっていく。
登場人物一人一人の想いが丁寧に描かれていて幻想的な世界観の表現も秀一だ。
優しさと勘違い、それからパンと猫が好きな異世界ファンタジーファンには特に是非読んでもらいたい。
優しすぎるがゆえに、神様に祭り上げられてしまったちょっと不憫な元騎士・ルーク。
本当はただ静かな日々を送りたかっただけなのに──気づけば“神”として崇められる日々が始まっていた。彼の持つスキル《世界調律(ワールド・チューニング)》は、起こった出来事を「なかったこと」にしてしまう力。
けれどそれを使うたび、少しずつ自分の存在が人々から薄れていってしまうという、なんとも切ない代償。
そんな深い設定がありながらも、物語はとにかく心地よく、あたたかい。
ルークと村人たちの軽快なやりとりはくすっと笑えて、どこかほんわかした気持ちにさせてくれます。
優しさが連鎖するこの物語に、あなたも日々のストレスを”調律”してみませんか。
婚約破棄されたことをきっかけに、辺境の村でひっそりと暮らす元騎士。
静かに生きたい彼には、もう働きたくない理由がありました。
それは、怠けたいからではなく、“調律”という特別な力に秘められた、胸に迫る代償のせい。
無理に誰かを助けようとはしないけれど、目の前で困っている人を放っておけない。
そんなこんなで「思わず働いてしまう」彼と、温かな村人たちとのやりとりに、
クスッと笑えて、心がじんわりとほどけていきます。
パンの焼ける香りや、猫のふわふわとした毛並みすら感じられるような、穏やかで優しい世界。
そこに漂うのは、ほんのりとした切なさと、決して消えない温かさです。
読みやすさも抜群なので、ぜひ気軽に読んでみてくださいね!