「証言」を含む小説

不明兵器事案は過去に一部の省庁、関係機関において断片的に扱われたが、その性質上、公式な調査体系に組み入れられることはなく精査されていなかった。なお不明兵器及び関連事案の発生条件、…

霊感を持つ友人がいるという人物から聞いた、不思議な話の数々。彼女が見ている世界とは──。（死相） 夜の山中を歩く男が、行きずりの青年と四方山話をする。しかし青年の正体は、男が想…

夏の湿気がこもる夜の体育館で、バレー部員・遠藤涼花は自主練を続ける。しかし、誰も触れていないはずのペットボトルの水が減り、遠くから微かな鈴の音が聞こえ始める。 涼花は、そのオカ…

「最近、神様に祈ると、嫌なことの原因にバチがあたるんです」 配信者・宗像祈《むなかたいのり》のもとに届いた、ひとりのリスナーからの相談。 最初は、よくある話だった。 しかし、彼…

土砂降りの翌朝、桜ヶ丘市営住宅505号室で高齢男性の遺体が発見された。 外傷なし、荒らされた形跡なし。整然と片付いた部屋。 しかし検視で覚醒剤の陽性反応が出た瞬間、捜査官たちは戸…

この資料は、どこかの地方都市で実際に起きたかもしれない怪異を、公式調査報告書や遺留記録の形式でまとめたものです。 『潮見市北区・旧遊園地にて』をはじめとする一話完結の事案は、どれ…

あらすじ 　大学生の田中三郎は、ある深夜、恐ろしい光景を目撃する。黒マントの男が薬を垂らすと、影が二つに分かれ、もう一つの影が立ち上がったのだ――影男の誕生だ。 　翌日、街では連…

　文久元年六月、津藩城下の松ヶ瀬屋敷で藩士ら十余名が惨殺される。主犯とされたのは滝川家の養子・柊時雨。唯一生き残った女中の証言により断罪され、滝川家は勘定方の職を剥奪された。十四…

20XX年11月6日。世界中のデータベースと公的記録が、一瞬で消滅した。「エラーコード201」が繰り返されるディストピア。 銀行残高も戸籍も消え、真実の主張だけでは生存できない…

証言は真実を照らすはずだった。 だが重なり合う言葉は影を生み、境界線を曖昧にしてゆく。その向こうに待つものとは―― 【登場人物】 丸田寅之助：数々の難事件を解決し、名探偵と名高…

モキュメンタリーホラー「これ、誰？」 オカルト雑誌xxxの編集部は現在引っ越し作業中。片付けの際、10数年前に退職したオカルトライターが遺した古いノートパソコンから、当時の取材…

お隣さんとの関わり方なんて人それぞれ ましてやそのお隣さんがVTuberだったなんて誰が思うだろうか 　大抵は朝の登校の時間や出勤の時間にたまたま顔を合わせて挨拶を交わすくらいの…

【仮想戦記×異世界】奴らは月からやってきた ―喪われた戦争― 1941年、大日本帝国とアメリカ合衆国は太平洋の覇権をかけて一触即発の状況にあった。 合衆国主導の石油制裁により、窮…

「上の階のリフォーム工事がいつまで経っても終わらないんです」 すべての発端は、私のサイトの問い合わせフォームに届いた、一通の些細なメールだった。 送り主は、都内のKマンションに住…

フリーライターである「私」のもとに、ある日奇妙な依頼が舞い込んだ。 都内のとある木造アパートに住む大学生からの相談。「隣の部屋から、一日中ブツブツと独り言が聞こえてくるが、管理会…

フリーライターの私が、ある編集者から受け取った未整理のデータ。 それは、北関東のとある地方都市・K市で発生した「集団失踪事件」に関する、未発表の取材記録だった。 「あの団地には、…

199X年、某県の山間部に位置する「名無し森（なしもり）」集落にて、住民38名が一夜にして消失した事件をご存知でしょうか。 当時、メディアでは「集団夜逃げ」あるいは「カルト教団に…

1955年8月21日、アメリカ・ケンタッキー州ホプキンスビル。 のどかな農家に住む家族が、突然保安官事務所に駆け込んだ。 「銀色の生き物が家に入ろうとしている」 「窓からのぞき…

ロンドンの霧は、ただの天候ではない。 光と影の境界を曖昧にし、声と足音を呑み込み、人間の輪郭すら曖昧にしてしまう。 1888年、その霧の中を、“何か”が歩いていた。 僕とバデ…

※本稿は、行方不明となったフリーライター・K氏がクラウド上に残していた未発表の取材データを、遺族の許可を得て再構成したものです。 ことの発端は、某巨大匿名掲示板に書き込まれた『壁…