未解決の異常報告書 ~にて

チョコしぐれ

潮見市北区・旧遊園地にて

調査報告書・第01号

対象施設:潮見市北区旧遊園地

調査日:20XX年8月3日〜8月5日

調査班:潮見市文化観光課・廃墟調査班


1. 背景


当該遊園地は199X年に閉園した。閉園後、敷地内に立ち入った者の一部が不可解な体験を報告している。過去5年間に警察や市職員による立入調査が断続的に行われたが、異常の詳細は未解明であった。


調査班は今回、現地の物理的状況を確認するとともに、過去報告の再現性を検証し、写真・動画・音声などの記録資料を取得する目的で現地立入を実施した。


2. 調査結果

2-1. 施設状況


観覧車は解体されず現存し、錆びついた車両が不規則に揺れていた。ゴーカートのコースは崩壊しており、現在では通行不可能である。チケット窓口内部には古い伝票や未開封のチケット束が散乱していたが、紙の一部には湿気による変色と、かすかな手形のような跡が残っていた。


2-2. 異常現象


夜間、無人の観覧車がわずか数秒間だけ稼働する映像が確認された。稼働中、車両のライトがちらつき、微かに金属の軋む音が聞こえた。


観覧車周囲には、調査班以外の者によると思われる濡れた足跡が複数残されていた。足跡は人間のものと確認されたが、誰も立ち入っていない時間帯に残されていた。


音声記録には、遠方から子どもたちの歓声や笑い声の断片が記録されるも、施設内に人影は確認されなかった。断続的に響く声は、特定の場所をさまようように移動しており、録音された音源には明確な発生源が特定できない。


2-3. 証言断片


元従業員A(女性・60代)

「閉園後も、夜になると遊具が勝手に動くのを見た。誰もいないのに、観覧車の車両がゆっくり回っていた……」


近隣住民B(男性・40代)

「昔、子どもたちの声が聞こえたことがある。でも見に行くと、誰もいなかった……あの声は、夢だったのかもしれない」


3. 総合所見


調査期間中、足跡・音声・稼働する遊具の断片的現象を確認した。映像・写真は不完全であり、観覧車の稼働は数秒に留まるため、人物の確認はできなかった。証言も断片的であり、現象の原因は未解明のままである。


施設内の痕跡や異常は、未解決のまま公式記録として残されるにとどまる。関係者からの証言も途絶しており、異常は現在も進行中の可能性が高い。


4. 備考


本資料は公式調査記録として保管され、無断での閲覧・複製は禁止する。


調査班による追加調査の予定は現時点で未定。


現場映像・写真の一部は劣化または消失しており、全貌の確認は不可能である。

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