「吸血鬼の短編」を含む小説

千年の眠りから目覚めた吸血鬼の王は、再びこの世に現れた“かつての魂”の気配を感じ取る。 かつて、ただ一人愛した人間の青年。その命は短く、決して永遠を共にできない存在だった。だが彼…

カウントダウンの時間の話です。

村外れに住む“先生”と呼ばれる男のもとで働くマリアは、ある日、彼の家で傷ついた客人と出会う。 灰色の目をしたその美しい青年に、マリアは次第に心惹かれていくが──彼の姿は、マリアの…

紫の砂が敷き詰められた浜に、ある日、死体が漂着する。 それは、形も性別もわからぬほど損壊し、蟲に覆われていた。 男たちが立ち去った後、死体は静かに――立ち上がった。

父を埋葬して一週間。夜ごと、誰かが戸を叩く。 その声は、たしかに父親のものだった。 けれどこの土地には伝承がある。――一度でも戸を開ければ、最期だという。 寒さと孤独の中、戸口…

——こんなお話があるんだ。 そう言って始まる、小さなお話。 月見の合間に語る、誰かのお話。 昔話か噂話か。それとも御伽噺か。 紅色に月が咲き誇るまでのつまみとして、君に語ろ…

吸血鬼のお姉さんと付き人の男の子の何気ないワンシーン。

　先生の名前はジョーゼフ・マーブルという。魂の器としての肉体を研究する魔術士、その家系の10代目にあたる。背丈は12歳の小柄な子どもであるハイネの倍ほど大きく、かなりの長身で、青…

目の前に広がるのは、多量の赤い鮮血。 息を殺し、暗闇の中、膝を抱える私。 この先……どうする……？ どうしたら良い……？ 当時、7歳の私は、疑問符の答えを持って…

前回の東京行きで「七人岬」に襲われた佐々木望、橘薫、北条魔紀。 その穢れを払うため、薫の故郷「物部村」に向かう。 そこでおこなわれる修行「滝行」 物語は淫らで妖しい因習に取り込ま…

孤独を感じながら日々を過ごす女子高生・真白（ましろ）は、ある夜、不思議な赤い月の下で、血まみれの少年・レイと出会う。 彼は「吸血鬼」だった。人間を襲わず生きるレイは、すでに長い年…

ある一室で私は、あなたに問いかけつ。

　額におっきなホクロがあるので、「三つ目」と呼ばれた小僧。毎夜、婆っちゃんに「あの噺」を語ってくれとせがむ。「むかぁ〜しむかし……」と語られるのは、世にも奇妙な怪談噺。 「血…

植園夜桜は、母の植園桜桃と共に夜、ティータイムをすることを日課にしている。彼女はその場で、とあるおねだりを母にした。 三題噺『本』『首』『空』 『雪解けを待つ吸血鬼』 htt…

白熊と共に暮らしながら、吸血鬼は弟子の帰りを待つ。一年が経っても弟子は帰らず、残された温もりを忘れることはない。 他サイトにも公開しております。

白薔薇に囲まれた部屋で、紅茶を飲む女と、傍に控える男がいる。 彼女は彼に訊ねるが、望むような答えは返ってこず──。 三題噺『契約』『部屋』『感謝』 他サイトにも公開しておりま…

墓石の上にも三百年。 吸血鬼の始祖ロゼは、魔王様の墓に腰かけながら暇をもてあましておりました。 誰が訪れることもない最果ての地で、墓守を務めること幾星霜。 ふと空を見上げ、自由に…

連載小説、blood 血の誓いに出てくる 龍天明のお話です。 一応過去と、龍家について描いております。 前編中編後編にわけて、終わらせる予定です。

少女には『全てをやり直す』力がある。 施設からの追跡、歪んでいく価値観。未来の見えない状況のなか、少女とハカセは『やり直し』を決意する。互いに優しい嘘をつきながら──。