扇風機と共に頑張ってまいりましたが、ついにエアコンをつけました。エアコンのフィルターを掃除しなければ……と思っている担当です。
 今回はユーザーの皆さまに本当にたくさんのご応募をいただきまして、まことにありがとうございました。
 気になる作品の内容はと言いますと、オタクのための国家として独立した秋葉原、アキバ国の解体を目指して自衛官が潜入する話、憧れの魔法少女になれると思って即契約したはいいが、よく聞いてみたら悪の組織の女幹部だった話、理屈の通った推理をドヤ顔披露したはずなのに、なぜかどうしても推理ミスになってしまう探偵のお話、「ぽんぽこ大学ドンドコ学部ドゥッダンツカドゥッドゥン学科」に入学した個性の強い面々のお話、と説明するだにおもしろそうな作品群です。金曜の夜、一息ついてまったりスマホをいじる時間のお供にぜひ、お楽しみください。

ピックアップ

推理を推理ミスに「させられる」かわいそうでかわいい女性探偵

  • ★★★ Excellent!!!

 一般小説では人気があるけれどWEBだとあまり見ない探偵もの。散々掘り尽くされたジャンルだけに昨今はもう「事件が起きて探偵が出てきて解決してハイおしまい」というだけでは成立せず、何かしらのエッセンスを加える必要があります。

 この作品の場合、そのエッセンスは「推理ミス」ということになるでしょう。

 本作の探偵役、財田成香は推理ミスをします。もっとも、それだけならさほど珍しいものではありません。推理ミスがアイデンティティになっているへっぽこ迷探偵は割と存在して、最近では「推理しない」ことがアイデンティティの貴族探偵なるものまで登場しているそうです。しかしここからが本作の特徴的なところ。財田成香は別にへっぽこではありません。へっぽこではなく、しっかりミステリ的理屈の通った推理を展開するのに、結果的に推理ミスになる。つまり「推理ミスすることを神に運命づけられている探偵」なのです。

 キチンと理屈の通った推理をドヤ顔披露し、それを考え過ぎやら後出し情報やらで全力否定される成香ちゃんはもうかわいそうとしか言いようがないのですが、そのかわいそうさから来るかわいさが本作の魅力でもあります。また推理ミスとはいえども理は通っているわけで、となると名探偵コナンの毛利のおっちゃんの推理のように「それはない」とゼロにして終わらせられるものではありません。「理の通った推理を否定するロジック」と「否定された推理を真相に繋げるロジック」の二つが必要になります。そこにどう論理を用意するかを期待するという、一風変わったミステリ的楽しみ方も可能です。

 作者様の敬愛する涼宮ハルヒ成分が財田成香ちゃんの中に多分に入り込んでいることだけは個人的にツッコミ入れたくなりましたが、面白い試みの小説でした。続編出来そうな終わり方なので、シリーズ化を期待します。

魔法少女になりたかったのに!悪の組織の女幹部になってしまった件

  • ★★★ Excellent!!!

「魔法少女プリピュア」が大好きな、女子中学生・西村千秋は、ある日、喋る黒猫に声をかけられ変身する力を授かったものの――それは悪の組織の女幹部に変身する力だった……

魔法少女になるのかなと思っていたら、悪の組織の女幹部になる設定が秀逸!
構成がよく練られた作品で、終始とてもおもしろかったです。
魔法少女もののなかで一番好きかもです。

悪の組織の面々の細やかで面白みのある設定
ピンチのときのドキドキハラハラ感
女幹部に変身する千秋の感情描写

魔法少女もののテンプレが活かされながら、新しいかたちにうまく進化した作品だと思います。
最後の方は一気読みしてしまいました

タイトルでくすっときた人は読んでみよう

  • ★★★ Excellent!!!

四コマギャグ漫画のような雰囲気漂う、日常系シュールコメディ。意味不明なのになぜだか笑いを誘うタイトル通りのシュールな世界観が面白い。

偏差値2億6千万のすごい大学「ぽん大」。ここに入学する生徒はその偏差値にふさわしく圧倒的な個性を備えた者ばかり。そんな奇人・超人・人外揃いのぽん大生たちが、今日もカオスの旋風を巻き起こす!

ストーリーは基本一話完結の連作短編で、一貫した主人公はいません。しかし登場するキャラクターはどいつもこいつもアクの強いやつらばかりなので、きっとあなたも好きになるキャラが見つかるはず。
また、ある話に登場したキャラが別の話で出てくることもあるので、群像劇が好きな人にもおすすめできます。

ちなみに僕は、中国語のような謎の言語を話す中国人・ホァンがお気に入りです。こういう、文字だけで笑えるというのも、この作品の大きな魅力ですね。

今、オタクが立ち上がる!アキバにほとばしる熱き友情…オタ魂よ永遠に…!

  • ★★★ Excellent!!!

秋葉原が日本から独立!
アキバ、それはオタクが作るオタクのための国家。
かの地を日本に取り戻すべく、今ひとりの自衛官が潜入任務を開始した――

もう、全編が面白い+カッコいいエピソードばかりなんです。
どんなに疲れてる時でもあっという間に夢中になって読みふけってしまいます。

文体はあくまで簡潔・冷静。
なのに書かれてる内容が、あまりに熱くておかしくて。何度ツッコミ入れまくったかわかりません。
主人公・キャッスルのボケが、最後まで止まらない!止めるやつもいない!

可愛いキャラやアクが強すぎるキャラなどのオタクエピソードに爆笑したかと思えば、ドラマチックな友情エピソードに胸が熱くなるのを止められない。
自衛官と、ある同人作家との間に育まれた友情が、全アキバと日本を大きく揺るがしていく…!!

文句なしにおススメです。
この面白さ、絶対クセになります!!