カクヨム文芸部運営メンバーは毎日、皆さまの作品をウォッチングし、素敵な作品を探しております。その活動の中で多数の名作に出会い、注目をしてきました。しかし、ここでふと気が付きます。「この作品たちが埋もれてしまうなんてもったいない。もっと多くの皆さんに読んでほしいんだけど、どうすれば……。そうだ!自分たちで紹介しちゃおう!」
ということで、今回、カクヨム文芸部運営メンバー自ら、これぞという作品にレビューを投稿させていただきました。カクヨム文芸部イチオシの作品3選です。どうぞお楽しみください!

ピックアップ

足元危険!! 疾走感あふれる青春×ミステリ×ホラー×ファンタジー

  • ★★★ Excellent!!!

読みはじめは、いたって軽妙な青春小説。テンポよく進む会話、おちゃらけ男子同士のじゃれあい、健康で平凡な高校生のダルダルな日常、恋と友情にまつわる思春期の機微、もうそれだけで充分に魅力的。でも、その爽やかテイストに油断していると、足元危険!!気がつくと、ぐらぐらっと底が抜けて、落下していくような感覚を味わうこと必至です。

ふとした会話から、同じ夢を見ている偶然に気づいたのは、もも、拓海、猿川、なぎさ。
そして、どうやら共通の友人がひとり、この世界から消えているらしい。その謎解きに4人で力をあわせて挑むのですが、記憶が食い違ったり、自分の知らないことを相手が知っていそうだったり、彼らをとりまく世界のピントが、少しずつ、でも確実に歪んでゆく不穏さが絶妙です。

目の前の扉がどんどん開いていくような疾走感のある筆致に導かれ、無我夢中で読み進めていく先に待ち構えるのは、何が正しくて真実なのかが曖昧な、虚実入り乱れた“呪い”の世界。ぜったいに何かがおかしくて狂っているのは間違いないのに、肝心のそれが、どうしても思い出せない。んんん・・・???お互い疑心暗鬼にかられながら、それでも、自分の心の動きに正直に、眼前にあらわれる世界と真っ向から対峙しようとする高校生たちがとってもチャーミングです。

作者が自分の物語の登場人物たちに息を吹き込むとき、どんな意図をもって名づけたんだろう、とよく想いをはせるのですが、本作でも「名前」それ自体が固有の磁場を持つ、重要な鍵になります。物語が入念に、二重底にも三重底にも入れ子構造になっていて、叙述トリック的な仕掛けも周到に埋め込まれているので、読了後、思わず最初から読み返したくなってしまうこと間違いなし。

じわじわまとわりつくような怖さとエモさが見事に融合した青春ミステリの感想を、ぜひみなさんと語り合いたい!
(M)

飛行部隊のパイロット女子×スパダリ系ハーフ男子の大人な恋愛小説

  • ★★★ Excellent!!!

機動追跡隊の女性パイロット・藍子ことアイアイは、同期にして追跡機ジェイブルーに同乗する相棒の祐也(既婚者)への恋愛感情をこじらせた末、「美しすぎる」エースパイロットのエミリオ少佐とワンナイトをキメてしまう。この夜を皮切りに、祐也との間柄はより一層拗れ、少佐との関係は意外な方向へ発展し、藍子のキャリアにはかつてない転機が訪れて……!?

優秀なバリキャリなのに恋愛下手で危なっかしい藍子。そんなアンバランスさになんとも言えない親近感が湧きつつも、優柔不断な祐也に振り回される姿は他人事とは思えず、ハラハラさせられました。度々訪れる修羅場には目を背けたくなりますが……普段は飄々としているのに、いざという時は威風堂々たる姿を見せるエミリオ少佐を見逃すまい!と鼻息荒く読み進めました(笑)。

彼に助けられながらも、芯の強い藍子は人望にも恵まれ、活路を見出していく様子は見ていて気持ち良いものです。恋愛はもちろんお仕事小説としても読みごたえのある作品ではないでしょうか。ミリタリー小説に縁のない女性読者でも取っ付き易い内容なので、サクサク読み進められる筈。ぜひご覧ください!
(C)

怖いミステリー小説だと思ってたら違いました、ごめんなさい……

  • ★★★ Excellent!!!

キャッチコピーの通りです。本当にごめんなさい。初めて本作を見つけてすぐ「面白そう!」と思ったのですが、「異能絡みで女子大生がいなくなるなんてきっと怖い小説に決まってるから、覚悟を決めて読まねば」とついつい後回しに……。最新話まで読み終えた今となっては過去の自分をぶん殴ってやりたいです。罪滅ぼしとはなんですが、本作の3つの魅力を紹介させてください。

まずあらすじを読んで分かる通り、消えた親友を探す謎解きミステリーとして楽しめます。親友の失踪に異能が関係しているということが序盤で明らかになるのですが、それだけではない謎が次々と!その謎に巻き込まれながらもただ一人、異能を持たない主人公が自身の鋭い観察眼で窮地を切り抜ける場面にハラハラします。思わずスマホを握りしめて読んでしまいました。

そして、それだけじゃない。キャラ文芸として読んでも面白いんです。ちょっぴり天然で癒しキャラな主人公を筆頭に、ツンデレ男子や食いしん坊な女教師など一癖も二癖もある個性的な登場人物ばかり。推しキャラを見つけて応援する気持ちで読むとまた楽しみ方が変わるので、おすすめですよ!

それにそれに、本作は実は飯テロ小説でもあるんです。料理上手な主人公がつくるごはんも主人公と親友が大好きなタルトも、出てくるものすべてがおいしそう。緊迫するシーンも多いですが、登場人物がみんなで楽しく食卓を囲んでいるとほっとします。怖いシーンがあっても安心して読めました。

ミステリー好き、キャラ文芸好き、飯テロ小説好きはぜひ!
(Y)