在宅勤務やオンライン授業などが続き、運動不足の方も多いのではないでしょうか。思う存分体を動かしたいと思っても、色々と制限のあるご時世なので、運動欲求が満たされないケースもあるかもしれません。そんな時は、スポーツ小説を読んで、気分だけでも爽快になってみてはいかがでしょうか。
カクヨムには実はたくさんのスポーツ小説があります。王道の成長物語だけでなくラブコメ的なアプローチや、SF、ファンタジー等々、ストーリーもジャンルも多様ですし、題材も身近なスポーツから架空の競技までバリエーション豊かです。
さて、今回は女子×スポーツの組み合わせが織りなす青春譚を中心にピックアップしました。熱さと爽やかさが同居する物語から、青春期の煌めきを感じてみてください。詳しいスポーツも知らないスポーツも、小説を通して触れてみれば新しい魅力や発見と出会えるはずです!

ピックアップ

二年生になった彼女達の活躍が見たくなる

  • ★★★ Excellent!!!


ここまで濃厚でドラマチックなスポーツ小説はそうそうお目にかかれないと思います。

ひとつひとつのお話は長いですが基本一話完結となっているお話で読後は大盛の定食を食べたような、ドラマやアニメを見終わったような満足感があり、バスケット知識をふわっとしか持っていなくても彼女達と一緒にバスケット知識を覚えていく面白さもあります。
きっとこの「ファイトオーバー!」を読むとバスケットボールの楽しさと魅力が再認識できると思います。

続きは気長に待って始まったらみんなで物語の続きを楽しみましょう。僕はまだまだ彼女達のバスケットボールが見たい。

ロードレースの入り口となる補助輪みたいな小説

  • ★★★ Excellent!!!

 ロードレースといわれて真っ先に浮かんでくるのは、もしかしたら「弱虫ペダル」かもしれません。しかしこの物語はもっと手前のロードレーサーの準備段階の話であるとか、自転車の乗り方であるとかの、もっと初心者向けのロードレース導入物語となっています。

 このレビューを書いている私も、漫画の弱虫ペダルと、ツールドフランスみたいな知名度の高い大会を動画で見るぐらいなのですが、この物語は「いきなりレースをされても、ママチャリとロードレーサーの違いがわからない」という人に最適だと思いました。

 さて物語に具体的に踏み込んでいくのですが、いわゆる再生物語であります。

 主人公はアマチュア大会で活躍した有名な選手です。しかしなにか事情があって選手を引退して、現在は教師をやっています。

 ヒロインについてはややネタバレになるのですが、糖尿病をわずらいながらも、ロードレースに打ち込む頑張り屋の女子高生です。

 この二人が支えあって、沖縄で開催されるアマチュア大会に出場を目指す内容です。しかもこの沖縄の大会には因縁があります。若いころの主人公が大活躍した大会でもあり、また主人公が選手を引退するきっかけでもありました。なぜ引退することになったのかは、まだこのレビューを書いた時点では描かれていないのですが、ただならぬ理由があったのは間違いないようです。

 そんな因縁のある大会に、ヒロインは出場したがっています。どうやらヒロインは選手時代の主人公のファンであり、彼の挑戦する姿勢に心を打たれて、糖尿病との戦いに抗えているという事情があるみたいですね。

 因縁だらけのアマチュア大会です。だから開催地である沖縄を示す「やんばる」という単語がタイトルに入ったわけです。

 まだ物語が途中なので、部活動としてのレースシーンにまで至っていないのですが、最初に触れたように、この物語の重点は「自転車(ロードレーサー)に乗ること」にあるため、かなりスローペースで進んでいくことになります。

 まだ文字数も少ないですし、この物語を読んで、ロードレーサーに対する見識を深めてはいかがでしょうか。

カッコイイだけじゃない!

  • ★★★ Excellent!!!

単なるスポーツドラマではなく、心情の描写がとても素晴らしい作品です。控えめなタイプの主人公が、熱血・積極的な友人達により、成り行きで格闘技を始めます。序盤は友人たちに引っ張られてストーリーが進みますが、あるきっかけで闘志に火が付き、大きな壁に挑戦して行きます。普段が冷静だからこそ、生々しい感情の爆発に心が揺さぶられるのかなと感じました。またシリアスさを中和するかの如く登場するシーサー君が、実にいい味を出しています!

遊びじゃない。彼女達が魅せる野球は、間違い無く「本物」の野球だ。

  • ★★★ Excellent!!!

 あえて先に書かせて貰うが、この作品は野球を知らない人間には、少し難しいかも知れない。だけど、野球を知ってる人には『刺さる』。
 彼女達の野球は「スポ根」では無い。真面目で細かく科学的。言ってしまえば「大きく振りかぶって」居る。
 男主人公が監督をやると言う所で、ハーレム要素ありか?と匂わせられるが、そこがまた絶妙。気になるならば見た方が良いとしか言えない。
 考えずに、感じて欲しい。この作品は間違い無く、本物の野球の「小説」です。