「カクヨム甲子園2020」の応募作に寄せられた秀逸なレビューをカクヨム運営が選出して紹介する「カクヨム甲子園2020 名レビュー発掘会」、今回はショートストーリー篇をお届けします。

誰でも手軽に読める一方で、短くまとめるには高い文章力が求められるのがショートストーリー部門の特徴です。
まだ応募作品を読んだことがないという方も、ショートストーリー部門から読んでみるのはいかがでしょうか。

「カクヨム甲子園2020」募集締切までちょうどあとひと月。
新しく応募作品に挑戦してみたり、あるいはそんな作品に対して応援を送ったりと、「カクヨム甲子園2020」の開催期間をめいっぱい楽しんでください!

ピックアップ

あなたのこころが赦す限り深読みしてください。そこに優しさが見つかるから

  • ★★★ Excellent!!!

 いじめにあい不登校になっていた〈僕〉水野が久しぶりに学校に行くと、その根源になっていた、当時、みんなの人気者だったはずの桐野がいじめにあっていた。

 周囲から無視されることに耐えているように見え、思わず、僕から声をかける。
 人気者だったはずの桐野は、そのことに驚き、そこから、奇妙なふたりの関係が始まった。

 この物語の僕は、不登校を嘆く母親の姿を見て、そこから抜け出す努力をするほどの、優しい性格なのです。
 でも、自分の不登校の原因を作った桐野に対して、こころは寛大すぎる気がするのです。簡単に赦せるわけない……と。
 たぶん、皆さまだって、そう思うに違いありません。

 僕が話しかけたことをきっかけにして、いろいろつきまとい始めた桐野。
 こちらも、いじめの原因だったことを忘れてるの? と思うでしょう……。

 皆さまは、その疑問を抱えたまま、ラストまで読み終えてください……。謎はなぞのまま、本文はエンディングを迎えますが、そこで考えてください……。
 書かれていない物語の中に、何が見えますか……?

形があるから壊れてしまう

  • ★★★ Excellent!!!

この作品を読んで真っ先に思ったことは、私たちは関係に安住している、ということである。
好きな人同士がすすんで恋人になりたがるのも、関係に名前を付けて安心したいからなのかもしれないとすら思わされた。
けれど、作中の翔と柚葉のように、幼馴染以上でも以下でもない、そんな曖昧な関係が、私にはとても素敵なように思えた。
形があるから壊れてしまう。ならば、形を作らなければいい。そんな斜に構えた解決策のようにも、私は思えた。
高校生らしい、実に爽やかな小説だと思います。

10代の頃を思い出します。

  • ★★★ Excellent!!!

純粋だった10代の学生ならではの心情が上手く反映されていて共感できました。
不安や葛藤は誰しもが抱いてきたものだと思います。純粋でひたむきな彼らに、懐かしさと、応援の気持ちが込み上げてきました。