形があるから壊れてしまう

この作品を読んで真っ先に思ったことは、私たちは関係に安住している、ということである。
好きな人同士がすすんで恋人になりたがるのも、関係に名前を付けて安心したいからなのかもしれないとすら思わされた。
けれど、作中の翔と柚葉のように、幼馴染以上でも以下でもない、そんな曖昧な関係が、私にはとても素敵なように思えた。
形があるから壊れてしまう。ならば、形を作らなければいい。そんな斜に構えた解決策のようにも、私は思えた。
高校生らしい、実に爽やかな小説だと思います。

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8月31日