この作品を読んで真っ先に思ったことは、私たちは関係に安住している、ということである。好きな人同士がすすんで恋人になりたがるのも、関係に名前を付けて安心したいからなのかもしれないとすら思わされた。けれど、作中の翔と柚葉のように、幼馴染以上でも以下でもない、そんな曖昧な関係が、私にはとても素敵なように思えた。形があるから壊れてしまう。ならば、形を作らなければいい。そんな斜に構えた解決策のようにも、私は思えた。高校生らしい、実に爽やかな小説だと思います。
小粋な作品である。古典の純文学の手法を取り入れつつ現代風の演出も組み込まれている。特に、わざわざ花火をサービスされる場面は作者入魂の力量を感じた。 はっきりさせたくはある反面、はっきりさせるのを恐れる気持ちは誰にでもある。しかし、避け続けるのも許されない。頁の先を知るのは登場人物達か、はたまた読者か。 詳細本作。