ようやく気温は下がってきた感じですが、みなさまお元気でしょうか? 私は空元気です。
さて、新作レビューということで、テーマは特に定めずにお送りいたします! ……あえて力強く言うことでもありませんね。しかし選ばせていただく際は超真剣ですゆえ、撤回などするものか! ということで。
そういえばみなさま、カクヨムに実装されております「ビューワー設定」はお使いでしょうか? ちなみに私の場合、【文字サイズ:中 背景色:生成り フォント:明朝 組み方向:縦組み】にしておりますよ。よろしければみなさまも、お好みに合わせて変更してみてくださいねー。

ピックアップ

悪魔が棲む部屋に入居しちゃった女子大生が虜になるお話です

  • ★★★ Excellent!!!

大学への進学をきっかけにひとり暮らしを始めた笹平結菜。よくある話かと思いきや、アパートの部屋では見知らぬ男の子(羽つき)がホットケーキを焼いていて……。
男の子のの名前はリツ。正体は部屋に棲みついた悪魔。果たして結菜は、ケーキを食べることで契約を成立させてしまい、彼との「半年間の共同生活」がスタートする。

と、なかなかに迂闊な結菜さんですけど、お菓子だけじゃなくて料理も得意、掃除もお任せなリツくんに胃袋その他をぐぐいと掴まれてしまいます。
これ、結構な方が「しょうがねぇ!」って思うんじゃないでしょうか? 
特に、自分ひとりのためになにかするのって辛いですから。

で、スイーツメインのほのぼの系かなーって思わせておいて、お話は思わぬ方へ転がるわけですよ。
それまでに伏線もちゃんと張ってあって、実は急展開じゃないことに驚かされるんです。これは実に見事ですねぇ。

現在すごくいいところで次回へ続く! なので、みなさまもこのそわそわ感、ぜひ共有してください!

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

その最強は最終を為すがために!

  • ★★★ Excellent!!!

西暦2327年、地球と火星とは30年に渡る第一次星間戦争を断続的に展開、HA(ハルゴンアーマー)と呼ばれるロボット兵器を駆り、敵と同胞との命を削り合う。
その中で、第三勢力たる月面都市アレスタンドの科学者ロイドは両者の戦いを止めるべく新型HAの開発を進めており、そしてその機体を預けるに足るパイロットを求めていた。

カクヨムのSFジャンルで人気の題材『ロボットもの』、その期待の新作がこちらです。
地球軍と火星軍の両側から語られるスタイルなのですが、これによって両軍の思想や作戦、そこに所属する主要キャラの心情とその変化が自然と浮き彫りにされている点、素直に感心しちゃいました。そこへ両軍を止めるため造られた新型HA(パイロット不在)登場ですよ! しかも合体ロボ! 
それはもう盛り上がりますよね! 

重厚な語り口に“期待感・高揚感”のパンチをがっつり効かせた物語展開、本当にお見事です。
現在の更新は7話までですので、追いかけるなら今ですよー。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

作る・食べる・考える

  • ★★★ Excellent!!!

これは著者さんの自炊メニューをメインに語られるエッセイです。

レシピを拝見しているだけでもおもしろいのですが、かならず添えられている食材の値段や、できあがった料理の食感、作りかたの著者さん的なコツ、そして感想などの“生きたデータ”は興味深いところですね。
レシピ本はまさに作りかたを教えてくれるものですが、食べるまでの過程や食べた後の感慨までは語られませんから。

加えて端々(ときにはメイン)で語られるメニューへの雑感や思い出には、著者さんという人の有り様が盛り盛りに詰まっていて、料理や文章というものの後ろにある作り手・書き手の“人間”をこの上もなく感じさせてくれます。

ちょっとまとめてみれば、このエッセイはレシピでありながら著者さんの人となりを語る自伝でもあるのだーってことになりますね。
料理にご興味ある方にも、人間ドラマが好きな方にもおすすめいたしまする。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

顔も知らない人たちの会話、会話、会話――そして感慨

  • ★★★ Excellent!!!

世界各地で起きた事件や出来事を電子掲示板で語り合う様子を描写!
それだけの説明で収まってしまうお話なのですが、その構成の妙がすばらしいんです!

各章の最初に取り上げられる出来事の説明が入り、後に掲示板のレスが続きます。これがまたリアルなんですよ。
ガーっと煽る人あり、さくっとツッコむ人あり、苦言を呈する人もいれば、わかったようなことを言う人もあり……
実際の掲示板でよく見るような、無記名だからこそ無責任な混沌と、ネットに慣れていればこその暗黙の秩序とがマーブルになってる感じ。

普段の掲示板なら読み流してしまうような“会話”なのに、こうして形式を整えて見せられるといろいろ考えちゃうんですよね。
透かし見えるレスしている人たちの正体とか、出来事に対するスタンスとか。
それが普段レスをしている自分と重なったりもして、なんとも不思議な感慨に至るんです。

この得も言われぬ“感じ”、味わってみる価値十二分にありです!

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)