今回の新作レビューもバラエティな4作をご紹介! 基本的にジャンル問わず、ネタに惹かれたものをチョイスさせていただいてますが、こうしてみると本当にバラバラですねぇ。それだけ多くの作品が新規投稿されているってことなんだなぁと実感します。
この盛り上がりをさらに加速し、そして読者のみなさまに運命の一本と出逢っていただく機会をご提供させていただくため、がんばって参りますよ! ですので書き手のみなさまはどんどん作品のご投稿を、読み手のみなさまはがんがん作品の閲覧をお願いいたしますね!

ピックアップ

人間が人間であることを証明できるもの、それは――

  • ★★★ Excellent!!!

体内に“インプラント”したナノマシンが人々の生活を支え、彩る未来世界。
ツカサは大学時代の友人であるシグレからひとつのメッセージを受け取った。

『あなたは人間ですか?』。

それはふたりが当時語り合ってきた、人が人であることをどう証明できるかというテーマ。
ツカサはシグレに再会すべく、電脳空間に設置された“仮装会議室”へ向かう。

こちら、高度に機械化された世界においての人間であることの存在証明、それを巡る短編なのですが……驚くほど細やかで濃やかです。

練り込まれたSFなんですけど、「自分が人であることを証明するのは他者」という前提を最初に置いておいて、それをツカサと他キャラの“対話”で掘り下げていきながら余韻を引くオチを導き出す――実は計算された人間ドラマであるというのが最大のおもしろさです。

これが出せるのは筆者さんのセンスと技ですね。予想外な展開は一切ないのに引き込まれずにいられないんですよ。
ちょっとほろ苦い読後感を残す良作です。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

幼女がんばる幼女! そしてごっこ遊びは加速する!

  • ★★★ Excellent!!!

絶賛ひとり暮らし中の高校生・烏丸奏多は、両親のお願いを受けて彼の面倒を見ることになった楠家の娘さん、利佳(6歳)と“ごっこ遊び”に興じる日々を送っていた。

すごいですね、要約するとほんとにこれだけのお話なんです。
あえて加えるなら、耳年増でご近所のお兄ちゃん大好きな幼女に翻弄される男子高校生の悲劇ってことになるんですが、悲劇ってようするにごほうびですしね! 

なんでもないお話の中であやうい展開があれこれなのですよ。
そしてこれも見逃せない、利佳ちゃんのママであるところの春香さん! 
ラブリー幼女とフレンドリーお母さんの組み合わせ、まさに甘えと甘やかしの二律背反って感じで物語を彩ってくれるんです。

この世界には夢も希望もなかなか見当たらないですけど、せめてお話の中でくらいはねーってことで、疲れてるあなたにこそオススメしたい甘々萌え萌えなドリームストーリーです。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

魔法の国で綴られる、不思議で素敵な大騒ぎ!

  • ★★★ Excellent!!!

14歳の誕生日、エマ・マーティンはいつも通る道の途中で見たことのない本屋を発見した。
好奇心に駆られて中に踏み込めば、彼女を迎えた店員は黒猫――だったはずのおっさん! 

こうして魔法と出逢った彼女は異世界へトリップし、なにやら偉そうな炎の大精霊アグニラと出逢う。

うん、出だしから大騒ぎです。
様式としてはど真ん中な『不思議の国』なんですけど、テンポのいいライトタッチな地の文章に加えて、エマさんやアグニラさん始めとする登場キャラがもれなくテンション高くてパワフル!

なにせ作品のキャッチからして「妾は二度と上空から高速落下致しません」ですしね。
期待どおり、キャラ総がかりで王道ジュブナイルをにぎにぎしく盛り上げてくれるんです。
物語ってほんとジャンルや設定だけで定まるものじゃなくて、その内で生きるキャラ次第だなぁと実感します。

というわけで、楽しいお話をご所望の方はぜひご一読くださいませー。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

「わたし」が考える「わたし」の有り様を「わたし」が綴るエッセイ

  • ★★★ Excellent!!!

“現実”とはなにか? “幸せ”とはなにか? 

生きていればかならず突き当たる、人であるがゆえの、“自分自身”を取り巻くものへの疑問。
それに対してひとつの見解を示す。それが著者さんがチャレンジされてることです。

哲学絡むと論も小難しくなりがちですが、そのへんをいかに専門用語やニュアンスへ逃げ込まずに表わすかが著者さんのテーマ。
ですから、多くの人が想像しやすい内容になってるのは最大の特徴ですね。

自分が認識している“わたし”とは、ほかの人を通して積み上げた経験則や社会常識を張り重ねたハリボテだ――とか、空気を読んで生きている普通の人なら「まあそうだよなぁ」と思うじゃないですか。
そういう気づきみたいなものを、なんだかやわらかい言葉で明確化してくれる感じなんですよね。

毎日の中でちょっと迷ったり悩んだりしてるときに読んでみるとあれこれ発見できたりする、そんなエッセイです。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)