さて、企画スタイルが変わりましての一発目、私の担当分は「笑い」をテーマにお送りしております。
笑いは大きく分けて、「普通におもしろい」と「仕掛け人が狙ってないのに笑わせられちゃう」のふたつあるかなと思うのですが、どちらも著者さんのユーモアないしシリアスセンスが低いと成功しないものです。ですので今回の4本はセンスいいな! と私が感心した作品です。……自分でハードル上げてしまって恐ろしくなってきましたけど、ともあれお楽しみいただけることは保証させていただきますよー!

ピックアップ

ラーメンを侵すとんこつスープに隠された超意外な真実!

  • ★★★ Excellent!!!

ラーメンをこよなく愛する人々が住まう「ラーメンの国」。
そこである日、醤油、味噌、塩スープにとんこつスープが混入されるというテロ事件が巻き起こった! 
いったい誰が、なんのためにそんなことを!? 犯人を追う中で、恐るべき事実が浮き彫りとなる!!

感想はただひと言、「すげぇ!」です! 正直、ラーメン好きじゃない人にはピンと来ないかなと思いますが、ラーメン好きには明かされた真実がピンポイントで刺さるんですよ。「それを言っちゃあおしまいでしょ!」って。

とはいえラーメン好きな人にだけオススメするのはもったいないんです。
謎があって探偵役がいて真相があって、ちゃんとミステリを楽しめるのが小憎らしい。
オチに行き着くまでの過程をきっちり盛り上げてくれる筆も見事です。
しかもそれが正しくおバカで、思わず笑わせられちゃうわけです。

ミステリの真髄は「やられた感」だと思うんですけど、それをフルスイングで食らわせてくれる作品です。

(笑っちゃう? 笑わせられちゃう?コメディ4選/文=髙橋 剛)

職業は国防! 陸上自衛官の毎日はこんなにドラマチック!

  • ★★★ Excellent!!!

陸上自衛隊普通科――いわゆる歩兵のみなさんの生活を書き綴ったエッセイがこれ。

おもしろいのはこれ、一人称のドラマ仕立てになってるんです。
一般的な物語みたいに読み進められるので、それもおもしろいんですけど……
さすが、内の人ならではの情報と叙情が深い! 
圧倒的な「こんなときにこんなとこで俺たちなにしてんだろ」感がね、シニカルな笑いを誘うわけですよ。
ひとつところに押し詰まって訓練に明け暮れる男たちのエレジー(哀歌)、おつかれさまですとしか言い様なし。

そして見所はなんといっても20話から始まる総合火力演習です! 
自衛隊好きにはたまらない一大イベントを内から描いてるんです。準備から始まって本番に至るバタバタなライヴ感! 
自衛隊関係くわしくなくても、思わず手を握っちゃうカタルシスがあります。

哀愁あり、笑いあり、華(火花ですけど)あり。リアルの重みもしっかり感じられる国防男子の物語です。

(笑っちゃう? 笑わせられちゃう?コメディ4選/文=髙橋 剛)

高貴なふたりの全力すれ違いラブコメディ!

  • ★★★ Excellent!!!

皇帝の下、諸藩それぞれを“王”が統べる国。その王のひとりであるナーラス国のアンリ二世、実は男のフリをしたリリアーヌ姫だった! 

自領を接収されないよう、死んだ弟の代わりにされた彼女は元婚約者である皇帝クロードと再会するが、まったく気づかれなかったうえに衆道の者だと勘違いされて……。
これ、トップページのあらすじを書き写したわけじゃないんです。
本編読んで書いてます。この著者さん、はっきり言って筆力高いです。
自作の特徴をきっちりまとめられるのはすばらしいですね。

そしてなによりキャラがいい! キュートなんですよね。
リリアーヌさんも、勘違い大爆発なクロードさんも。
そこそこレベルじゃないくらい絶望的な状況にいるふたりがわーわーすれ違う様、読んでるだけでほろっときます。不幸です。
なのに、なんだか笑っちゃうんです。悲喜劇っていうのはこれだよなぁって。
しかもそれをロマンティックにまとめてくるんですから、言うことなしですよ。迷わずオススメいたします!

(笑っちゃう? 笑わせられちゃう?コメディ4選/文=髙橋 剛)

石田三成じゃなくてみったん爆誕! 超高出力戦国絵巻!!

  • ★★★ Excellent!!!

なぜかデジカメやらネットやらが存在する戦国の世。
仇敵たる徳川家康との戦いに備えて策を巡らせていた石田三成がある日突然美少女に! 
動画サイトへ反家康同盟の仲間募集をアップしたことを皮切りに、彼女はアイドル活動を始めちゃったりする!

と、なかなかにインパクトあるトンデモをかましてくれるこの話ですが、なによりも注目していただきたいのは三成の腹心たる島左近さんの苦悩です。
みったん(作中での三成さんの呼称)の斜め上ながんばりの下で右往左往する彼。超高名な策士なのに! 
しかもそれを横目に、生真面目といえばこの人みたいな三成さんがかわいさとあざとさで豊臣側の面々を動かしていくとこがまたあわれなりって感じなんですよ。
やっぱり極端な構図があってこそ、笑いは生まれるんですよねぇ。

最終更新が去年の3月なんですけど、ぜひ続きが読みたいところですね。みったんに期待しつつオススメ!

(笑っちゃう? 笑わせられちゃう?コメディ4選/文=髙橋 剛)

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