書店で売られている書籍と違い、WEBの小説はカバーの装丁や帯の紹介文がなかったりする分、初見の人にはなかなか手にとってもらいづらい傾向があります。事前情報がほとんどない状態でよく知らない人の小説を読むというのはなかなかハードルが高いものです(だからこそ、この企画も成立するのですが)。こういった場合、読者に実際に読んでもらうには、作品自体の面白さや完成度はもちろんですが、それ以上にどこか人目を引くような尖った要素が重要になってくるわけです。そこで今回は設定や冒頭の文章で読者の心を掴んで一気に引き込むような作品4点と、そうした作品を書く際に参考になりそうな一作を選ばせていただきました。

ピックアップ

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人脈重視で結成された特殊警察チームの活躍

  • ★★★ Excellent!!!

たとえばミステリーで「名探偵もの」というと、探偵が天才的なひらめきで事件を解決するのに対し、「刑事もの」というと、犯人の手がかりを追って関係者に聞きこみをしたり、地道な調査を続けて証拠を見つけたりするといったイメージがあるのではないでしょうか。

本作の主人公たちも警察内部の「情報課」に勤める刑事ですが、彼らの捜査は一般の「刑事もの」とは一線を画します。
彼らが捜査でもっとも重要視するもの、それは「コネ」です。
まともな調査では証拠を見つけられない重大事件に対し、それぞれの人脈を使い、半ば違法な形での捜査を行う特殊チーム。それが本作に登場する「情報課」です。

元天才子役、元オリンピックメダリスト、自動車会社の御曹司、文部科学大臣の息子、そんな彼らと一緒に働くことになったスリの名人。個性派揃いの彼らが取り組む事件は、当然一癖も二癖もある代物。

各人の能力と人脈を活かしたその大胆な捜査方法はどこかスパイ小説の雰囲気もあり、ミステリー好きだけではなく、チームで行われる「お仕事もの」が好きだという人には自信を持っておすすめできます。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=柿崎 憲)