今後はRe;bake版を更新します。ナーサリークライム 【原本】はいったん終了します。

　本格ミステリかと思って読んでみましたが、第一講義の最後で違う楽しみ方をする小説だと納得しました。読めば分かります。

読者に対して、謎の解決に至るための手がかりが全てフェアに提示されているかどうか、という点をもって言えば、この作品は本格ミステリとは言い難い。
何故なら、この作品において主題として扱うテーマは“異能”であり、モチーフやガジェットなど数多く登場するミステリーの要素はあくまで味付けであるからだ。
しかし、それらの要素はただのごった煮ではなく、ミステリー好きの心をガッチリ捕らえるための働きを十二分に果たしているし、提示された謎に対して探偵役が解決編を披露するという様式はきちんと踏まえられているので、この作品のジャンルを問われれば私はミステリーだと答えると思う。

ただ、上記で述べたような小難しくまど…続きを読む

サスペンス小説はリアリティな描写があってこそのものだと思っていました。しかしそれは違い、どう見ても不可能犯罪な描写で、読み手を引き込んでくるのです。その一文一文に、次のページを見たいという欲求をとことん掻き出されました。もしまだこの作品をパッと見で、まだ本編を読んでおらず、サスペンス物を書く予定の方がいましたら是非読むべきと推せる作品です。

最初から女刑事、孤島、影のあるお嬢様、巨大企業と推理小説の王道（というかベタ）ネタてんこもりなのに、混ぜられたラノベ要素がそれをうまく中和しています！
トリックが読めず、「え、これ無理じゃない？」と首をひねりつつ楽しく読めました。

これは……面白いですぞ！
まだ事件は始まったばかり、タイトルの探偵役も出ていない、なのにこのテンポの良さ。
型通りでありながら魅力的なキャラクターの描き方。
一切合切ひっくるめて好みです。自作をほっぽる勢いで更新をお待ちします。