短い、体験談です。しかしその中に込められた思い、重さは筆舌に尽くしがたい。まさに生きたお話。これこそ、自分の子供にも語りついでいかなければと思いました。
その夜、東京でおよそ十万人もの人が亡くなりました。今でもその正確な数すら分かりません。本作はその東京大空襲についての口承を記した作品です。私の父は広島の被爆者で私は被爆二世です。その頃祖父は満州に配属されていました。戦争は無辜の市民を傷つけること、それをこの作品は静かに語ってくれます。あの時何があったのかを、その目でお確かめください。
子供の頃、近所の家の縁側に丸い穴がいくつかあいていて、「これ何?」って聞いたら「機銃で撃たれた痕だよ」と答えてくれました。上空から撃たれるのを走って逃げたそうです。うち祖母から聞いたのですが、空襲の時に屋根を貫通して焼夷弾が床に落ちてきたそうです。慌てて掴んで家の外に捨てたそうです。「火傷しなかったの!?」と聞いたら、「家が燃えたらもっと困るでしょ」って返されたのを、久しぶりに思い出しました。
私が子供の頃、このような先生はいませんでしたが、祖父は出兵しており、母も空襲に遭っていて、そういう体験談を聞かされていました。今の若い人は、直接戦争の話を聞いたり、リアルに実感する機会がほぼ無いと思います。トランプが正義と称する戦争は、殺戮に過ぎません。原爆で大戦を終らせた国は、今も変わりません。こんな殺伐とした時代、このような体験談を投稿した作者の思い。語り継ぎ、声を上げ続けたいと思います。
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