なんてことない朝なのに、出てくる登場人物が一定のリズム、不気味さを持って主人公に語りかけてくる。心理的に追い込まれていく描写が怖いです!センスが光る作品です!
淡々とした語り口でストーリーが進んでいく。登場人物たちの淡々とした口調が夢の中の気持ち悪さを増している。怖いと言うより違和感による気持ち悪さのほうが勝ってしまいました。
それは形のない。形のない夢だった。それは終わりのない。終わりのない夢だった。わたしたちは歪んだ部屋に立ち、薄暗い窓を見つめていたんだ。あぁ、聞こえてくる。夢を──見ていたのですね。無機質な、諭すように優しい声だ。不気味でしかたがない。怖くてしかたがない。顔のない、顔だった。無機質な、マネキンのような顔だ。目も、口も。顔を離すと何も思い出せない。見ていたはずに顔は、どこにもない。あぁ、わたしたちは──。夢を──見ていたのですね。
夢は心を映すもの、と言いますが。この悪夢は、自身の心にある瑕をひとつひとつ咎めるように、責めてゆきます。そして、瑕だらけと断じられ、その果てに引きずり込まれる所とは……。こんな夢は見たくない、心底そう思わされます。
主人公の目覚めから何気ない日常が始まる。しかし、その日常はどこか自分を責め立てるようで…。作中で主人公に投げかけられるのは、わずかな違和感はあっても、聞き流せてしまうような言葉ばかり。ですが、それらが積み重なるにつれて違和感は肥大し、読み進めるうちに何とも言えない「ゾワゾワとした気持ち悪さ」へと変わっていきました。タイトルの「悪夢」。読み終えた時、その言葉がすとんと腑に落ちます。この短編ホラー、オススメです!
淡々とした日常描写の中に違和感が少しずつ積み重なり、気づけば逃げ場のない悪夢へと引きずり込まれる作品でした。登場人物たちの「あなたは〜ですね」という静かな言葉が、怒鳴り声よりも強く心を責めてきます。無自覚な利己性や見捨ててきたものが形を持って現れるラストは非常に印象的で、読み終えた後も不安と考えが残りました。説明を排した構成だからこそ、読者自身に問いを突きつけてくる良作だと思います。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(106文字)
貴方もいつのまにか、そこに引き込まれているかもしれません。
読みやすくシンプルなのに、的確にぞくっとさせてくる表現。勉強になります!
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