概要
どんなことがあっても、どうか強く生きてほしい――。
南洋に浮かぶ島嶼を治める、マタラム王国。六〈ヌム〉の王子であるステノゴは、南国のおおらかな気質の島民達に囲まれて、のびのびと暮らしていた。
おいしい食べ物に一年中温暖な気候、素朴で穏やかな日々の営み――神々の平和は、この先もずっと成されるのだと、信じて疑わなかった。耳の不自由な姉を助け、同い年の甥とともに学ぶ、この日常が、これからも続いていくのだと。
一方、北東に広がる大陸では、一月早い冬が訪れていた。大陸の北部を統べるスティンヴァーリ帝国では、熱病が猛威を振るい、人々は病魔に喘いだ。
その苦境に、好機を見出した者がいた。大陸の北と東を繋ぐ交易の地、ファールサの宰相ファルジャードである。彼は王〈シャー〉に謁見し、こう囁いた。
マタラムへの派兵を、お許しいただきとう存じます、と――。
おいしい食べ物に一年中温暖な気候、素朴で穏やかな日々の営み――神々の平和は、この先もずっと成されるのだと、信じて疑わなかった。耳の不自由な姉を助け、同い年の甥とともに学ぶ、この日常が、これからも続いていくのだと。
一方、北東に広がる大陸では、一月早い冬が訪れていた。大陸の北部を統べるスティンヴァーリ帝国では、熱病が猛威を振るい、人々は病魔に喘いだ。
その苦境に、好機を見出した者がいた。大陸の北と東を繋ぐ交易の地、ファールサの宰相ファルジャードである。彼は王〈シャー〉に謁見し、こう囁いた。
マタラムへの派兵を、お許しいただきとう存じます、と――。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!艱難辛苦
読み進めている途中なのですが、一話読むごとに悲しみや憤り、遣る瀬なさなど、様々な感情が湧き起こり、胸の内が波立ちます。
キリスト教を信仰している身ではないのですが、「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。」という一節があったのを思い出しました。
彼らの歩む道が、どうか絶望だけに閉ざされてはいませんように。
それぞれの苦難の先に、希望の光があることを願いながら、物語の行く末を見届けたいと思います。