概要
それは星も同じだった。
繁栄の果てに紅く濁った空の下。
少年は「祖父が飛び立った場所」に立ち、
すべての始まりとなる“墜ちたもの”を知る。
それは、救いの残骸か。
それとも、世界を壊す始まりか。
少年は真実を掴み、抗うことを選ぶ。
同じ喪失を、二度と繰り返さないために。
物語は、ここから始まる。
壮大な現代ファンタジー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「『おかえりなさい』――ずっと、そう言いたかった」
本書は、未知の宇宙生命体による侵食と、それを無慈悲に隠蔽する国家の狂気によって、すべてを奪われた少年の壮絶な運命を描いた、重厚なSFディストピア・サスペンス作品です。
環境汚染と利権争いで死にゆく惑星「エアリス」を舞台に、平穏な日常が崩壊していく恐怖と、消された真実を取り戻すために立ち上がる少年の孤独な闘いを、圧倒的なスケールと緻密な描写で表現しております。
特に、脳裏に響くモーツァルトが船内からも聞こえ続ける演出は圧巻であり、まるで自分が『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』の中央にいるかのような錯覚を覚えることでしょう。
日常の何気ない会話さえもが生存の鍵や罠として機能しており、作中…続きを読む - ★★★ Excellent!!!星を見上げる祈りから始まる、壮大な物語
星を見上げる場面が好きです。
弌が祖父のノートを抱えて夜空を見上げている描写に、とても惹かれました。
もう消えてしまった星の光も、今ここに届いている。
その言葉を胸に、星を覚えておきたいと願う弌の姿が、静かで優しくて印象的でした。
物語の舞台は、地球によく似た惑星エアリス。
滅びへ向かう星、宇宙から近づく謎の光、祖父たちの帰還。壮大なSFの気配がありながら、神邨家の温かな日常が丁寧に描かれているからこそ、「最後の夜」という言葉が重く響きます。
特にラストの「ただいま」は、帰還の言葉であるはずなのに、希望にも脅威にも聞こえて胸がざわつきました。
星の光、家族の祈り、そして崩壊の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!身近な星の壮大な運命と救済の物語
地球によく似た星AERTH(エアリス)を舞台とする物語は、天文・宇宙調査隊の家系の主人公、神邨弌(かみむらいち)を中心に立ち上がっていきます。
文明を重ねるごとに資源を削るところも、地球への暗喩になっており、親近感とほどよい緊張感をかかえながら読み進めました。
序盤から胸に迫る展開があり、圧倒的な描写によってどんどん引き込まれていきます。
神邨家の人物造形や物語構成も素晴らしく、選び抜かれた台詞で物語の進行を後押ししていく。
祖父の存在、宇宙船、モーツァルトの旋律……
物語に置かれた謎と、主人公が抱える運命による牽引力は見事なものです。
まだ物語は途中ですが、救済と崩壊が隣あわせ…続きを読む