神の存在や神話の空気をまといながら、この物語が描いているのは、人の運命と選択だと感じました。
救済か、破滅か。
正しさか、愛か。
大きな問いを掲げながら、最後に残るのは、ひとりの人間の決断とその代償です。
終盤の「救済の代償」では、思わず泣いてしまいました。
ヴァルスの苦しさ。
カルラをよりどころにしてきた想い。
そしてカルラの選択。
数多くの魅力的な人物が登場する物語ですが、私はとくにヴァルスに心を強く動かされました。
彼のその後の人生に、思いを馳せずにはいられません。
流行に左右される物語ではなく、人間の愛と選択という普遍を描いた作品だと思います。
神話のかたちをとりながら、最後に残るのは人の心でした。
テーマ性のある重厚ファンタジーが好きな方はもちろん、
人の選択の瞬間に心を揺さぶられたい方に、ぜひおすすめしたい作品です。