絵本アカサタナ

遠山ゆりえ

第1話 

 クリスマスシーズン、童心に戻り絵本を読んだり、誰かにプレゼントしたりしてはいかがでしょうか? ア行から順に挙げていきますのでお付き合い下さい。


ア行


『おまえ うまそうだな』 宮西達也著


 肉食の恐竜が、草食の赤ちゃん恐竜と出会います。赤ちゃん恐竜を食おうと思っていると、自分のことをお父さんと間違えているのに気づき、次第に父性が芽生える物語です。宮西達也の作品は他にも『おとうさんはウルトラマン』など父子の関係をテーマにしたものが沢山あります。単純で力強い絵も魅力です。


カ行


『かいじゅうたちのいるところ』 

 センダック著


 60年以上前に描かれたロングセラーな絵本です。世界中の子供に読まれています。なぜそんなに人気があるのでしょうか?子供の想像や夢の中に入りこんだ世界です。怪獣たちは大きくて不気味ですが、子供のほうが強いのです。子供時代特有の万能感を上手に描いた絵本だと思います。


『かようびのよる』 ウィーズナー著


 カ行の絵本をもう一つ紹介しましょう。アンデルセンに『絵のない絵本』という作品がありますが、これは、ほぼ絵だけの絵本です。読み聞かせにはあまり向いていませんね。精緻で奇妙な絵をすみずみまで眺めて楽しめます。何が起こるのか不穏な雰囲気もあります。ある火曜日の夜に……。


サ行


『じごくのそうべえ』 田島征彦著


 「そうべえ」という男が、地獄で仲間達と大暴れするお話です。上方落語が元となっています。小学校に読み聞かせに行っていた時、男子に大受けする絵本でした。糞尿地獄の場面では思わず「きったね〜!」と声があがりました。(関西弁のイントネーションは関東人の私には難しく、いい加減でした……)


タ行


『だるまさんが』 かがくいひろし著


 保育園でパートしていた時、読み聞かせると1歳児が大笑いするテッパンの絵本でした。だるまさんだけしか登場しません。

「だ・る・ま・さ・ん・が」の次のページをめくると「びよーん」と伸びたり「ぷぅ」っとおならしたりします。同じ話を何度読んでも面白いのです。乳幼児は繰り返しが大好きです。他にもシリーズで『だるまさんの』などの作品があります。作者のかがくいさんは残念なことに2009年に他界されました。


ナ行


『ねぎぼうずのあさたろう』 飯野和好著


 浪曲風のセリフ満載です。アンパンマンのように野菜が擬人化され、あさたろうが悪者を成敗する物語です。ふなっしーではありませんが、ねぎ汁を武器にしたりして強烈です。人気があり、シリーズ化されてます。浪曲みたいに読み聞かせが出来ると良いのですが、中々難しいです。


ハ行


『はせがわくんきらいや』 長谷川集平著


 学生の時初めて読んで、衝撃を受けた絵本です。著者は森永ヒ素ミルク事件の被害者当人です。絵と文は筆で子供が書いたかのようですが、迫力があります。私が子供の頃、サリドマイド事件や水俣病やいたいいたい病などの痛ましい被害者がいました。企業のミスや利益優先のために起きたものでした。かといって、企業を声高に告発する絵本ではありません。はせがわくんの友達の目線で描かれています。ひ弱でトロいはせがわくんと遊ぶのはイライラします。時に暴力をふるいます。しかし無視はしません。きらいやと言いながらも彼を何とか仲間に入れます。事件の被害者でなくても弱い子供は沢山いるでしょう。そんな子達に対する普通の子の正直な気持ちが吐露されています。優等生的優しさではない優しさにあふれた一冊です。


マ行


『ママがおばけになっちゃった!』

 のぶみ著


 以前話題になった絵本です。交通事故で死んだママが子供のところへ、おばけになって現れるお話なのです。小さな子供を残して亡くなった母親はどんなに無念でしょうか。子供も、おばけでもいいからママに会いたいでしょう。賛否両論あった作品でもあります。死を軽く扱っているとの声もあるようです。

死については難しいですよね。古今東西、宗教・哲学・科学が死について論じているくらいですから。この作品に、もろ手を挙げて賛成することは出来ません。しかし死のひとつの考え方としてありだと思います。


ヤ行


『やっぱりおおかみ』 ささき まき著


この絵本も学生の時出会いました。主人公のおおかみは黒い影で表現されています。世界で一匹だけ生き残ったおおかみが、自分と似た仲間を探し求める物語です。何処にいっても見つかりません。孤独なおおかみは時にロックでアナーキーです。「け」と大きな平仮名がそれを象徴しています。最後は結局、自分は自分以外の何者でもないのだと悟ります。内容は、どちらかといえば大人むけです。


ラ行


ラ行の絵本もいろいろあるのでしょうが、思いつきません。御免なさい。よかったら、どなたかご紹介下さい。


ワ行


『わにわにのおふろ』 小風さち文

           山口マオ絵


 木版画の、わにの絵は迫力満点でユーモアたっぷりです。主人公である、わにの「わにわに」が一般的な日本家屋に住んでいて、お風呂に入る様子が描かれています。シャワーをマイクにして歌ったりもします。無表情なのになぜか可愛い! シュールな世界だからこそ面白い!『わにわにのおでかけ』などシリーズがあります。(これを読んだ子供が本気で「わにを飼いたい」とか言ったらどうしよう……)


以上で絵本の紹介を終わります。ちょっと癖のある本が多かったかなと思います。絵本は子供も大人も楽しめる素敵なツールでもあり、芸術でもあります。あなたの琴線に触れる作品に出会える、お手伝いが出来たとしたら幸いです。







 

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