8 私の誕生秘話 ②

「また、女かぁ、働く気がせんようになった」

生まれた瞬間から父から見放された私です。


 さて突然ですが、皆様は「リア王」をご存じでしょうか?

ウィリアム・シェークスピアによって書かれた四大悲劇の一つです。

本作はリア王の悲劇の物語。

ゴネリル(長女)、リーガン(二女)に国を譲った老王が、娘達から裏切られて国を追い出され、半ば狂気に囚われます。そしてフランス王妃となっていたコーデリア(三女)の助力により2人と戦争するも、敗北。その後、王が絶命するまでの壮絶な悲劇、不条理を描いています。


 私はこの物語を小学生の時に読んで、思ったのです。

コーデリアは私だと。

うふふ、思い込みも甚だしいとお思いでしょうね。


 私は小さい頃から、本を読むのが大好きで、しかも本を読んだ後は必ず物語の主人公になりきって空想に明け暮れていました。

この時はコーデリアになりきって。

勿論、実際にはこの物語と全然違うのですが、何となく自分と重なる部分を感じて父は今は私を必要としていないけど、きっといつか、私が生まれて来て良かったと思う日が必ず来るという根拠のない自信というか確信を持ったのです。

その時、私の中では、コーデリアは王を救うとても素直で優しく勇敢なイメージだったのです。(小学校の図書館で借りた本だったので、児童用にソフトに書かれていたのかもしれません)

コーデリアが三女だった事とそのイメージだけを重ねて、父の気持ちを変えてみせるなんて思っていた私です。

うふふ、大それたことを考えていたものです。

だって、コーデリアになりきっていたんですもの。


 ところが大人になって改めて「リア王」を読んだら、あの時に感じたイメージとは全く違っていました。

おおよその期待を裏切る、多くの登場人物が死に絶えていく物語であり、救いはないと思えるストーリーでした。

そしてコーデリアの性格もゆがんだものでした。

しかも最後には無念の死を遂げてました。

なんてこった!

けれど、小学生の時の私は、コーデリアを通して、自分の生きる意味を感じていたのです。何故だか分かりませんが……。

もしかしたら、勝手に自分の都合のいいように空想してコーデリアを創り上げていたのかもしれません。


 実際に、父は私が生まれた時はがっかりしたようですが年老いてから私が実家に帰って一緒に住むようになってからとても喜んでくれました。

昔はとても頑固で、融通がきかず、母にも優しくないし、なんて父だと思っていましたが、晩年はとてもまあるくなって私を頼って、「〇〇〇(私)が娘で良かった」なんて言ってました。

ほ~らね。私が思った通りだった!って妙に納得しました。

(∀`*ゞ)エヘヘ


 そんな私は小さい頃は、すぐ風邪をひいて寝込むような子だったので、母はちゃんと育ってくれるだろうかと気をもんだそうです。

確かに、私は一年中と言っていいほど風邪をひいていて、治ったと思えば又ひいての繰り返しでした。

しかし、そんな心配をよそに私は段々と逞しく育っていきました。

小学校を卒業した頃には、すっかり元気になりお蔭様で大きな病気もしていません。


 話は変わりますが、私が生まれた時の家は現在も残っており、私が中学生の時に、その家の隣に両親が新しく家を建てました。

当時の台所は土間だったのでその部分は壊して、すぐ隣に建てたのです。

生まれた時の家と新築した家の2軒が並んだ形です。

子供達が独立して暫くして私が実家に戻った頃は、まだ両親が元気だったので、母屋(私が中学生の時に建った家)に両親が住み、古い隣の家をリフォームして、私が住むようになったのです。

それぞれ独立した家でしたが、リフォームした時に2軒の家を繋いで行き来できるようにしました。

キッチンとお風呂は母屋にあるのでそれを共有してます。


 現在私は、自分が生まれた時のその部屋を寝室として使っています。

リファームして内装は洋風になりましたが、生まれた時の場所で寝起きしているのです。

それで私はふと思ったのです。

私って生まれた場所で今寝てるだって!

こんな人はあまりいないんじゃないかなって思ったのです。

だって今は、殆んどの人が病院で生まれているから、あり得ない話です。

それに、大人になったら別の所に住んでる人の方が多い気がします。

だから、最近思うのです。

願わくば、この場所で最期を迎えられたら本望だなって!

何でも空想してしまう私だから、こんなミラクル起こせないかなって勝手に思いながら、私の「昭和のあの日はセピア色」を締めくくらせて頂こうと思います。

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昭和のあの日はセピア色 この美のこ @cocopin

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