概要
そこでは、任意の対象に対して、自分が好きだった時のその対象のコピーを永遠に閉じ込めることができる、そんな透明な箱が秘密裏に開発されていた。
主人公のマナミはある日、訪問営業に来た男からそれを購入してしまう。
昔は大好きだった夫のユキヒロが今は大嫌いになって悩んでいたマナミは、これを使って、大好きだったころの夫のコピーを透明な箱に閉じ込めてしまった。
そのうち、マナミはだんだん夫が愛せなくなってくる。
そんな時に、彼女は同じく透明な箱を持つ様々な者たちと出会う。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!お高く感じますか? でも、それだけの価値があるかもしれませんよ?
長く付き合うほどに、なんだか違和感を覚える。それはやがて嫌悪感となる。
そういうことは、多くの人間関係でみられることではないだろうか。
本作は、“良かった頃のあの人”のコピーを閉じ込める箱が買える、というお話である。
箱を手にした者は、どんどんそれに依存していく。
なぜなら、その“良かった頃のあの人”は、“自分にとって都合がよかったあの頃のあの人”と言えるからである。
現在でも、死んだ人とバーチャルで会うことができるというサービスはすでに開発されている。
この箱は空想物語ではなく、近い将来現実のものとなるだろう。
箱の中の“あの頃のあの人”。
きっとあなたを癒してくれる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!愛はかげろう……
恋だ愛だ憧れだ理想だ。それを相手に求めると言うのは、結局のところ幻想なのかもしれません。
こちらの世界では、『好きだった頃の相手(のミニサイズ)』を閉じ込めて、永遠に保管できる透明な箱が十万円で売られています。
まずこの……十万円っていう値段が考えさせられますよね。
どんなに熱く燃え上がった二人でも、冷めるはくるのでしょうか。
愛していた夫の面影は、あの頃とは全く違うものになり、
料理一つで喧嘩になる始末。
それで主人公は、この箱を購入してしまうのでした。
箱の中には、優しくてハンサムだった頃の彼(のミニサイズ)がいるのでした。
辛い時も、悔しい時も、箱の中の彼に話しかけれ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!都合のいい理想像。それは人のエゴを剥き出しにし、現実から遠ざけさせる
人間の欲望とか「エゴ」みたいなものについて考えさせられる作品でした。
主人公のマナミのもとにやってきた、怪しい訪問販売員。彼の取り扱う商品は「大好きだった人間」の「もっとも好きだと思っていた瞬間の姿」をコピーできるというもの。
それをミニチュアにして箱に入れ、常に自分のそばにいてくれる存在にする。
夫は最近になって横柄になり、容姿も劣化が激しく。そんな夫の昔の姿をコピーして箱に入れることに。
しかし、「箱」の持ち主はマナミだけではなかった。
彼女の勤める学校でも世間でも、同じものを持っている人間は数多く見かけられ。
そして彼らの「使い方」を見る中で、マナミは次第におぞ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人は簡単に変わってしまう。それでも――!
とても面白かったです!
訪問してきた営業マンに思わず買わされてしまったのは「愛していた人の好きだった時のコピーを永遠に閉じ込める透明な箱」。この箱を中心とする人々の姿を描きます。
SF前作の『太宰治に似たロボットが人間に失格しているかどうか判定してくる社会』に引き続き、まずは発想の勝利です。さらにその設定に名前負けしないストーリーで読ませます。
時を経るにつれて夫婦の気持ちが冷めていく、というのはよく聞く話です。そのあるあるを上手くSFに落とし込んでいるのが秀逸だなと思いました。
例の箱を使う様々な人々が描かれますが、人間って簡単に変わってしまうよなぁと考えさせられました。…続きを読む