概要
人類がコロニーへ散らばった時代。
宇宙物流の片隅に、小さな宅配会社カンパニー・ミゥがある。
働いているのは、感情を学習する試作アンドロイドのミゥ、財閥出身の舞、肩書きだけ社長のカレン、借金まみれの科学者・江藤徹。
どこにでもある零細企業のはずだった。
ある日、ミゥが持ち帰った“荷物”をきっかけに、会社の日常は静かに軌道を外れ始める。
それは、ミゥの中に芽生えた小さな感情と、ひとりの少女の願いが重なった瞬間だった。
小さな選択が、宇宙規模の騒動へつながっていく。
コロニーの政治、財閥の思惑、宇宙交通の仕組み。
そのすべての狭間で、ミゥは「心とは何か」を探しながら、自分の道を選ぼうとする。
宇宙を駆ける宅配アンドロイドが、人間の世界で生きようとする物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!経験から人間らしさを学ぶ、アンドロイドの成長物語
この作品の魅力は、自律思考型アンドロイドのミゥが、人間との交流や失敗を重ねながら、少しずつ「心」を身につけていく過程を丁寧に描いているところだと思います。
特に印象的だったのが、30kgの荷物をそのまま相手の手に載せたり、指定時刻より5分早いという理由だけで荷物を渡さなかったりする場面です。知識としては正しくても、人間社会ではそれだけではうまくいかない。その小さな失敗から学んでいく姿が、ミゥという存在をとても分かりやすく見せています。
もうひとつ印象に残ったのが、自分自身を「荷物」として両親のもとへ届けてもらおうとする少女チャイとの出会いです。最初は依頼を文字通り受け取ってしまうミゥです…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神は細部に宿る
半ばまで読めたので書きます。
本作を一言で言うのなら、成長するアンドロイド(史上初の自律思考型)・ミゥを主役としたSF小説になります。
熱量が凄く色々とアップしたい点がありすぎるので、今回は設定とキャラを取り上げたいと思います。
設定の作り込みはSF作品ということもあって非常に作り込みが深いです。作中の文化並びに経済、今の世界が作られるまでの歴史が作られています。しかも、読み進めれば読み進めるほどに、この世界が我々が生きている世界の延長にあることがよく分かります。特に「日本の米」の話は拘りが強く感じられました。しっかり調べていることがよく分かります。
次はキャラですね。勿論、注目すべ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!歌いながらゲートを強行突破する宇宙きのこが最高の掴み
第1話のプロローグが最高の掴みだ。宇宙ステーションのゲートを「宇宙を飛ぶきのこ」が強行突破するという、なんとも珍妙な緊急事態が警備隊長と管制官のやり取りだけで描かれる。「形状の特徴は?」「えーと、きのこです」「なんだ?」「だからきのこなんです、宇宙を飛ぶきのこなんです!」この管制官の困惑ぶりとミハエル隊長の真剣さのギャップがとにかく笑える。そして出動した警備隊に伝わる追加情報が「歌っています」。アンドロイドのミゥという存在が、なぜこんな珍妙な形で登場するのか、その歌は何を意味するのか——一話だけで続きを読まずにいられない引力がある。コメディとSFと心温まる物語が一体になった作品の予感がプロロ…続きを読む