宇宙宅配便カンパニー「ミゥ」!

いのそらん

第1話 プロローグ

プロローグ


「緊急事態発生!緊急事態発生!」

 その声は、コロニーシュワーツ方面ギガスペースライン管理ステーションの中に突然鳴り響いた。


「繰り返す。緊急事態発生!警備隊の出動を請う」

 2回目の復唱で、ようやくその報を伝えた管制官の要請に応える通信がモニターに入った。


「こちらGライン警備隊チーフ、ミハエルだ」

 モニターに写った、髭面の男はそう伝えた。


「ミハエルさん・・・」

 モニターの前の管制官はそうつぶやくと、少しだけほっとしたように息を吐いた。


「緊急事態の報は誤報ではないのだな?」

 ミハエルと呼ばれた男は問いただした。現実にもどった管制官は状況の説明にはいった。


「誤報ではありません。ただいま伊那笠財閥所属の行き先、目的とも不明の宇宙船?がステーションのギガスペースライン突入のためのゲートを強行突破しました」

 心なし余裕が見て取れていたミハエルの顔から笑みが消えた。


「な、なんだと?そ、そんなことが・・・・」

「事実です」

「宇宙船?の?はなんだ?それ以外に何がここを強行突破できるんだ?」

「は、はぁ・・・それは・・・」

 管制官は、急に言いよどむ。


「はっきりしろ」

 そういいながら、ミハエルは自分の部下たちにも的確な指示を与え始めていた。警備隊の要請があってから2分後。すでに第一陣がステーションのドックから出動を始めていた。


「隊長・・・」

 管制官がようやく声を出す。


「私ももう出撃する。突破したのは何なんだ?」

 ミハエルの声に厳しさが増す。


「は、はい。極めて小型の宇宙船とでもいいましょうか・・・・そもそも宇宙船なのかも定かでは・・・」

「うーむ。形状の特徴を伝えてくれ」

「は。はあ。前に円形のものが・・・いや、うーん。なんと伝えたらいいのか・・・」

 管制官の返答に精彩がない。


「見たまま伝えてくれ。こちらも出る」

「えーと。。。きのこです」

「なんだ?」

 一瞬の静寂が流れる。


「だから、きのこなんです。宇宙を飛ぶきのこなんです!!!」

「・・・・わかった。その宇宙きのこのライン突入を未然に防ぐミッションを開始する。他船舶の一時ゲート内進入を制限してくれ」

「了解しました。健闘をいの・・・」

 管制官の声が途絶える。


「おい、どうしたんだ?」

 ミハエルが叫ぶ。


「歌です。歌が聞こえます」

「歌だと?」

「はい。例のきのこは歌っています。こちらかの通信要請に歌が戻ってきています」

 ミハエルはゆっくりと深呼吸をするして通信を終了すると、ドックを離れた。 

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