概要
踏み出せば戻れない。 それでも、風は彼の名を運んでいた。
三十五歳の看護師・彩は、静かに生きてきた。失恋を経て選んだ一人暮らしのマンション、淡々と過ぎていく仕事の日々。そんな日常に風穴を開けたのは、春に赴任してきた循環器内科医・藤原誠だった。家族を持つ彼に惹かれてはいけない──そう思うほど、胸は勝手に動き始める。踏み越えた夜から、二人は戻れない場所へ静かに進んでいく。風がすべてを運び去る前に、心は何を選ぶのか。
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?