事故物件に泊まろう!3

 不気味な光景が広がっている中、ほのかは一人、興奮していた。

「市松人形だ! かわいい!」

 そう叫ぶと、視聴者はほのかの反応に驚く。視聴者は完全にほのかに置いて行かれているようだ。

 ほのかは視聴者のことを完全に忘れて、一体の市松人形に手を伸ばした。しかし、触れる寸前で、ほのかは手を引っ込めた。

「危ない、危ない。窃盗になっちゃう」

 ほのかはやはり、呪われる心配はしていなかった。寧ろ、呪われてみたいとすら思っているのだ。彼女に恐怖という概念は、もはや無い。

「なんか床抜けそうで怖い」

 ほのかはカメラを持ちながら、床をわざとらしく踏み鳴らす。床が悲鳴を上げる中、ほのかは軽快な口調で視聴者のコメントを読み上げる。

 五分ほど経った時。突然眠気がほのかを襲った。ほのかは急いで一階に駆け降りると、黙々と布団を敷き始める。そして、

「眠いからもう寝るねー」

 と言って、配信を切った。

 寝ている間、どんな音が鳴ってもほのかは気付かない。鈍感というより、彼女は無神経だ。

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桜井ほのかのオカルト日記 野崎渚 @nozaki_nagisa

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