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概要
名を呼ばれないための記録が、出口を遅らせる。
行方不明が続いた岬の保養所に、音を集める仕事人が一晩だけ機材を据える。鎖のきしみ、階段の拍、井戸のような沈み再生のたび現実のほうが歪み、港の赤灯は一拍遅れて点滅しはじめる。扉は動かず、代わりに「通路ではない通路」が開く。名を呼ばれないための手順、第三の材質としての沈黙、砂の螺旋、欠けた数珠。収音の記録は、帰路の権利と引き換えに更新されていく。聴くことの暴力と赦しをめぐる沿岸怪異譚。
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