概要
不器用な蛇神の少年と少女のお話です。
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- ★★★ Excellent!!!「ねぇ、気づいてくれた?」
舞台は、大きな鎮守の楠がそびえる日輪村。
二人の蛇神、勝ち気な少女・柚木耶と、物静かな少年・奈津野の物語。
「雨を降らせるかわりに娘を嫁にやる」という庄屋との約束を反故にされた奈津野。
なのに気にする素振りもない奈津野に対して、柚木耶の方がかんかんに怒ります。
彼女が彼の誇りを守るために奔走する姿は、危なっかしくも、誰よりも真っ直ぐな愛に満ちていました。
奈津野はなぜ腹を立てないのか――その真意は最後に明かされます。
夜を照らす楠の葉の光。風鈴のような葉擦れの音。
美しい情景描写とともに、談笑する蛇神たちの影が見えるようです。
優しくて、少し切なくて、最後はとても温かい。
人ならざる者た…続きを読む - ★★★ Excellent!!!本当に怖いのは力ではなく、信じた心を踏みにじること
特筆すべきこととして、この物語、鎮守の楠や淡く光る葉といった幻想的な情景描写がものすごく美しいです。
その結果、物語世界へ自然と引き込まれてしまいます。
主人公は、少年と少女。
主人公の少年の怒りは短気や乱暴さではなく、約束を踏みにじられたことや大切な存在が軽んじられたことへの強い義憤です。
一方、少女の静けさは無関心ではなく、相手を縛らない思いやりから発生しているように思いました。
結果的には、正反対に見える二人が、実は同じ場所に、相手を守りたい気持ちに、すっくりと立っていると明かされていく、二人が衝突を通して互いの本心が浮かび上がる様はとても爽やかであると感じました。
人と異…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人間のエゴを許した蛇神の少年の真意とは……?
温和な南方の蛇神の一族の奈津野は、雨を降らせる代わりに庄屋の娘を嫁にもらう約束だった。しかし、人間達は約束を反故にしてしまう。
それに怒ったのは同じ蛇神の少女柚木耶。
庄屋の家に行くものの別の人に嫁ぐ娘を可哀想に思い、攫う代わりに供物を用意するようにと脅すのだったが………。
一つ目に、約束は守りましょう。
二つ目に、守れない約束はしてはいけません。
三つ目に、逆恨みするとは何事ですか。
どこまでも優しい蛇神さまでも限度というものがあります。
見えない相手は怖いもの。
しかし、敬意は常に忘れずにいたいものですね。
昔話風に語られる神話です。
蛇神の二人が相手を思う優しさを教えてくれました…続きを読む - ★★★ Excellent!!!精緻な文章で描かれる蛇神と人間の物語
これはある昔話だ。
柚木耶と奈津野という蛇の神がいた。奈津野はある娘を村人たちから嫁として献上される予定だったのだが、その約束が反故にされてしまう。
柚木耶は人間たちに憤慨するのだが、どうやら人間たちに怒っていない奈津野のことも腹立たしいようだ。
人間たちにもどうやら事情があるようだが、後に人間たちは蛇神にとんでもないことをしようとする。その結果、どうなるか……それはあなたの目でたしかめていただきたいです。
伝承にありそうな重厚な話が格調高い文章で紡がれていました。とても素晴らしい作品です。
また人間と神の関係とか人間のエゴとか、そういうものについて考えさせられるような物語で…続きを読む - ★★★ Excellent!!!腹立たしさの奥にある気持ちが温かい 優しい蛇神の物語
困った時に神頼みをする人間。
その願いを叶えてあげた蛇神の少年。
なのに人間は、願いがかなったら約束を反故にする。
ああ、人間ってなんてズルいのか!
そりゃあ怒って当然でしょうと思うのに、蛇神の少年が怒らないことに蛇神の少女は怒り心頭。
腹立たしさに行動を起こしてしまう蛇神の少女にハラハラしつつも、そこに見える真っ直ぐな気持ちが小気味よく、読んでいてググッと気持ちを持っていかれ、ただただ応援したくなります。
彼女の怒りの奥にある気持ちとは。
蛇神の少年が怒らなかった理由とは。
純真で不器用な二人の遣り取りに、最後は温かな気持ちになること請け合いです。
お勧め致します。