『その男との出会い』


お金に困っていた私は、パパ活をしていた。

SNSで「#パパ活募集」「#p活募集」とハッシュタグをつけて、日々新しい相手を探す。

もちろん、すでに数人との交際経験はある。


そんなある日、私の元に1通のDMが届く。


おぢだ。新規様ごにゅ〜か〜いw(ご入会)


私はLINEを交換し、いつも通りの流れでやり取りを始めた。

そして数分後、初めてのおぢからの新着メッセージが届く。



「おぉ〜〜〜!!瑠衣ちゃん、はじめましてだよ〜😊

ライン交換ありがとね〜✨

いや〜、こうやってメッセージ送れると思うとなんか嬉しいなぁ〜👍

これから仲良くしてもらえるとおじさん、めっちゃ喜ぶんだけどなぁ〜😆

ゆっくりでいいから、まずは自己紹介とか聞かせてくれると嬉しいなっ!」



「……」


出た、例の『おじさん構文』だ。


いや、もう少しテンションを上げてもいいかもしれない……。


――ハッ‼︎ 現れたな、『おじさん構文』め‼︎

数戦錬磨のこの私がお相手してやろう……!


そんな冗談はさておき、ここで便利なのが、そう、『AI返信機能』だ。



「はじめまして〜😊

ライン交換ありがとですっ✨

これから仲良くしてもらえると嬉しいな〜💓

よろしくお願いしますっ!」



超便利すぎて泣いた。(泣いてない)

もちろん、今の返信にAIを使ったことは言うまでもない。


その後、お互いに簡単な自己紹介を終えた。


――なのに、どういうわけか


おぢの使う『おじさん構文』が、不自然に思えて仕方がなかった。

ハートマークや妙な絵文字、改行だらけの文章。


普通なら、笑ってしまうはずなのに――。


「……おかしい」


その文章に潜む、ある違和感。

それが、私を物語の中へと静かに、しかし確実に引きずり込んでいく――。

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至高素子論2『導かれた少女』 まめた @Mameta2147

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