自分で招いた足音
創作です。
怖いので夜は出歩けません。
今の自分は、ですけど。
子供の頃に、自分が夜道で出会った怖いモノを皆さんにご紹介したいと思います。
昔の話ですので、思い出を盛りに盛って語ります。
中学生の時の思い出です。
自分は当時、暇を持て余しており。
ゲームセンター・カードショップ・本屋などなど、
自宅から通える範囲内の遊び場を梯子していました。
地元は田舎なので、中学生が夜に一人で遊び回っていても、警察のお世話になることはありません。
人通りがないのが普通なので。
人気の無い夜道を歩きながら、次に行く遊び場は何故こんな時間にも営業しているのか、疑問に思っていました。
あの時の自分は。
着いて来るんです。足音が。
ヒタヒタと、自分の足音に合わせて誰かが歩を進めるんです。
辺りを見回しても、誰も居ません。
街灯が無機質に道路を照らし、白線が浮かび上がっていたのを覚えています。
不安を抱えたまま遊んでも、楽しくないでしょう?
気づかない振りをして、遊び場に向かっていた自分ですが、気づけば自宅に向かって歩いていました。
その間も、ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタと、
着いてきます。
読みづらかったらごめんなさい。
自分がどういう思いをしたのか、少しでもみなさんに伝われば幸いです。
続きます。
流石にもう、走りますよね? 自分もみなさんのように走りました。
死ぬ気で走りました。
蛍光タスキを放り投げ、落とした財布にも目もくれず、何度転ぼうとも必死に。
本当に許されないことですが、信号無視もしています。
逃げきれないと、割に合わないですよね?
ですが、どれだけ必死に走っても、足音はヒタヒタと着いてきます。
自宅の姿が見える頃には、自分の頭にお化けと文字が浮かんでいました。
足音が同じなんです。
力む様子はなく、自分のスピードに合わせて歩幅が変わった様子もない。
自分は中学生にしてはデカい方だったので、足音の主は人間ではないと思います。
人間だったとしても、他人の庭にズケスケと上がり込んでくる精神性は、怖いです。
足音は、自分が玄関を開け、自宅に逃げ込むその時まで聞こえました。
追われている間、振り返らなかったのか?
振り返りましたよ。お伝えしているじゃないですか、足音に追われたと。
ごめんなさい。
大事なことを忘れていました。
このお話は、自室の外では見ないでください。
着いて来るので。
それでは話を戻します。
自宅の敷地に入ってから聞こえた足音の主は、母でした。
玄関の段差に両の手のひらをつけて、泣きながら息を整えていると、
肩を掴まれて上に引き寄せられました。
『創作、こんな時間に何、外を出歩いているの?!』
母にこんな感じで、耳元で怒鳴られました。
自分の下の名前は創作と言います。
すみません。
あの日は母が夜勤だったので外をで歩いても問題ないと思っていたのですが、
運の流れが悪かったですね。
母にしこたま怒られた後、僕は自分の自室に戻りました。
自室に帰ると、嫌な気持ちになります。
明日から学校がまた始まってしまうので、コーラで気を紛らわせました。
ぷしゅっと音を立て、ごくごくと。
自分は、部屋にコーラをダースで常備しています。
羨ましいでしょう? 良かった。
適当に飲み、ゴミ箱に放り投げました。
コロコロと床に転がるコーラボトルより、自室の窓から見える暗闇に目が行きました。
ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ
つかれました。
自分はつかれていましたが、足音の主が母な訳が無いんです。
自分の子供を泣くまで追い立てて、傷つける必要性はないでしょう?
夜に家を抜け出したからって。
さて、足音の様子ですが、家の周りをぐるぐると歩き回っています。
砂利を家の周りに敷いていたら最悪です。
眠れません。
ザクザクとうるさいですね。
窓を開けていたら──分かるでしょう?
このお話は自室の外で見ないでくださいとお伝えしましたが、別に見て頂いても構いません。
着いて来るだけですので。
自宅で見てくださった方は、空気を呼んでいただきありがとうございます。
自室の安全性について。──何事も、手軽く済むのが一番良いです。 ドキドッキー @A4242427
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