処刑まで七日。語られるのは、罪か――愛か
- ★★★ Excellent!!!
王を殺したとして収監されている元近衛隊長ジャウハラと、彼の看守サフラ、二人だけのやり取りで進む物語です。
閉ざされた独房という舞台と、処刑前夜の七日間という設定が最大限に生きていました。ジャウハラが望む晩餐と、二人のやりとりを通して、彼の来し方、価値観、性格が少しずつ浮かび上がってきます。短編という限られた文字数にもかかわらず、人物の奥行きや世界の厚みがしっかり感じられることに感嘆しました。
「なぜジャウハラは王を殺したのか」という謎を軸に、登場人物の様々な形の愛が交錯する構成も見事で、読んでいてどんどん引き込まれます。サフラとの会話によってもたらされるジャウハラの心情の移り変わりとともに、二人の関係性もまた変化していきます。短編でここまで骨太な物語に仕上げるのは簡単ではないはずですが、構成の巧みさとキャラクターの厚み、テーマの強度で、読後にしっかり余韻が残ります。
登場人物の心や世界の広がりを感じられる、良質な短編を読みたい方におすすめの作品です。