弁護士VS悪霊! 法学は呪いに通用するのか!?

物語の舞台となるのは奥多摩の山奥にある旧家。一族の当主である青子は床に伏し、亡くなるのもそう遠くはなく、屋敷には膨大な遺産を巡って親族一同が集合していた……。
どう考えても殺人事件の一つや二つが起こりそうな、このシチュエーションで、そして読者の期待通り惨劇の幕は開くのだが、本作で死ぬ人間の数は片手では収まらない。集まった親族が次から次へと盛大に殺されていく。それも人間の手ではなく、悪霊の手によって……。

不気味な悪霊によって金目当ての親族たちがひたすら殺されていく展開は、あまりの容赦なさに一種の爽快感すら覚えてしまうのだが、本作ではそれに加えて悪霊が人を殺す条件に“法則”が隠されている。
ただのスプラッタで終わるのではなく、生き残るためにこの法則をいかにして暴くのかというのが、物語の大きな楽しみになっているのだ。

そして、そんな謎を解くための探偵役として事件に巻き込まれたのが、若手弁護士の鷹志田陽法。
特に優秀というわけではないが運の良さだけには定評のあるこの男が、己の職業をフルに活かし、弁護士ならではのやり方で事態を解決する展開は非常にユニークだ!

(奇妙な事件の物語4選/文=柿崎 憲)

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