カフェで読みたい! やさしい時間と木洩れ日の感じられる散文詩的な短編集

 主人公の少年「ぼく(フウチ)」をはじめ、「玻璃の音*書房」を切り盛りする「柚子(ゆず)」さんに、「空辺(くうへん)」さん、そして書房の庭に住むかわいい「コリス(小さなリス)」……。

 登場人物や動物には、どこか自然の精を宿すようで、ぼくや書房での出来事を中心に、散文詩的な文章にゆったりとやさしい時間が紡がれていきます。特に、主人公のぼくは、14才の学生なのですが、まるで森の精のような木洩れ日が感じられ、不思議で心地よい少年です。

 一話一話の最後に紹介される本や音楽、おさかなさん(?)は、物語のモチーフとなるもので、その発見には、探究心と好奇心をくすぶられること間違いなし!

 ちょっと一息つきたい……カフェのおともにぴったりな物語です。