災いの子と呼ばれた少女は、天の血に触れ、自らの運命を切り開く

一言でいって、王道のハイファンタジーです……でも、とても読みやすい!

双子を禁忌とする古えの一族で、双子の妹として生まれたばかりに、一族の穢れ、「災厄の子」として不条理な扱いを受けてきた少女セイレン。

まるで少年のような言動と素直な心を持つヒロインを、つい応援したくなります。迷いながらも自分の居場所を作って行く姿に共感を覚えます。
生まれ故郷では命の価値さえないような扱いを受けていた彼女が、見知らぬ土地で多くの人間と触れあい、成長していく過程が丁寧に描かれています。

そんな彼女を側で見守る男達もとっても魅力的…これ以上はネタバレになってしまいそうなので、あとは読んでからのお楽しみ、という事で。

作者さまは「日本古代マニア」とおっしゃるだけあって、日本古代史最大の謎、とされる継体天皇の若かりし頃の物語を、史実と想像を交えながら、とても読みやすい文体で描かれています。

歴史・時代もののジャンルになってはいますが、戦乱の世はもちろん、呪術あり、切ない恋の物語もある、古代の日本が舞台の珠玉のファンタジーです。

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