図書館にほしい良質な古代日本のファンタジー

読んだら懐かしい気持ちになりました。
というのは、私が思春期のころ読み漁ったYAのファンタジーの香りがしたからです。

主人公の女の子は、なかなかハードな環境ながら素直で根性があって、好感が持てます。
彼女はこの世界のなかで、どこにも属さない異邦人でしょう。
故郷にあっては災いの子、故郷を出ても謎多き民族の娘という立場です。
どこにも属さない主人公の視点だから、読者も彼女の視線に寄り添って、見知らぬ古代の世界に思いを馳せることができます。

他のキャラクターもそれぞれしっかり個性があり血が通っていると感じます。
部下に慕われる若王、雄日子は英雄ですがどこか不気味さも感じます。私のお気に入りは、面倒見のいい藍十です。

文章も読みやすく、世界観がしっかりしています。
女主人公で、良質なファンタジーは少ないので、嬉しいです。

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