古代日本を舞台にした、一筋縄ではいかない少女の成長譚

無事完結されたので僭越ながらレビューを一筆!

膨大なweb小説のなかからどうやってこの物語に辿りついたのか、今となってはもう忘れてしまいましたが、読み始めてすぐに「怒れるヒロイン」セイレンの姿に惹きつけられたのを鮮烈に覚えています。
彼女はいつも何かに怒っていて、苛立っていますが、自らの足で立ち、立ち向かいます。独特のリズムで描かれる古代の風景は美しくどこか不思議で、そのなかで物語の核となる「雲神様の箱」を握って、彼女はひとり懸命に戦います。
対して、この物語のもう一人の主人公とも言える雄日子は不気味なヒーローです。邪術と古い血脈のなかを革新性と独創性をもって台頭してくる若き王、という立ち位置なのですが、笑顔の裏で何を考えているか分からない、不安定な内面を隠し持つ、何面体もの魅力をもつ男です。
この二人が相対したとき、物語は動き始めます。

面白いです。是非。

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雲神様の箱

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