概要
西下 刻也はクラスメイトである最上 綾からそんな突飛な提案をされた。彼女曰く現実には青春が、夢が足りない、と。
非現実的だとは思いつつも、彼はその提案を受ける。明るく頭の回転が速く、コミニュケーションに長けた相棒最上と共に、魅力的だと感じた女子生徒へとアプローチを始める。全ては仲良くなる、ただそれだけのために。
青春とはなにか、ラブコメとはなにか。2人は理想もわからないままに、それを目指してひた走る。
時として、同級生の恋愛相談を受けたりしながら、少しずつハーレム以外の人間関係も築いていく。
気持ちも言葉も本物で、意図的か、自覚しているかの違いでしかない。そんな計算尽くしの二人の行動を、それでも青春ラブコメと呼んでもいいだろうか。
これは、一人の男子
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ラブコメのきっかけは、いまや自らの手で演出するものになった
ジャンル小説はよくもわるくも伝統芸能化してしまう。
たとえば屋上で出会いがあったり事件が起きたりするという「お約束」がその一つの例だが、残念ながら「屋上は今日も閉鎖されている」。
そんな本作は、ヒロインである最上の「ハーレムを作ろう!」という一言になぜか唯々諾々としたがって奔走する主人公の西下の姿を描いたものだ。
この話でもっとも唐突なのはこの枕なのだが、それ以降は、ハーレムを形成するために一人ひとりの女子生徒たちと真摯に人間関係を構築していく様が非常に丁寧に描かれる。
言うなれば、つまり、ラブコメであることを演じるための努力に余念がないのが本作である。
思えば王道のラブコメは、ヒロイン…続きを読む - ★★★ Excellent!!!現実的にハーレムを作るとしたら?
「ハーレムを作ろう!」
この作品は、そんな一言から始まるラブコメだ。
しかし従来の学園モノと大きく違うのは、どこまでも現実的で、打算的で、それでいて楽しいのだ。
屋上なんて開いてないし、生徒会にそこまでの権力はない。風紀委員会なんてものも存在しない。
そんなどこまでも現実的な学校生活の中、主人公である西下は頭を使い、地道にハーレムを作ろうと動いていく。
そして何より楽しいのが、時々挟まれる小ネタだ。タイトルこそ出てこないが、説明される漫画や小説はどれも、現実世界であるものばかりだ。知っていると「あ、それな!」と思えるマニアックな楽しみ方ができる。
学園ラブコメの新たな一面を、これから…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この青春には策謀あり、思惑あり、そしてピュアあり
ハーレム、男の夢といっても良いそれは様々な作品で様々な手段を持って構築されてきた。モテすぎる主人公がなし崩し的に作ることもあるし、口説き落とした女の子達を侍らせたものもあった。古今東西様々なハーレムがあった……
しかし、この作品のハーレムを構築する手段は、策謀だ。一見、ハーレムとは無縁のそれらを持って主人公西下刻也は同じく策略家最上綾ともにハーレムを目指す。
策略、そう策略だ。人を騙し、透かし、あるいは操るそれらはこの作品においては全く不愉快ではない。むしろ、次はどうするのか、この行動の裏にはどんな意図が隠れているのか、そんな事を楽しむことさえできる。正しく作者の妙、見事としか言いようのない…続きを読む