変化が産む、変化の過程

繊細な筆致で語られる描写が、仄暗い世界を眼前にありありと映し出してくれるのが印象的。

テーマなどがあるのかは分かりませんが、男の容姿が変わるまでの間の心の方こそが重要な変化であるように感じる。
カメラという別の視点を得る事で自分の内面と向き合い、そしてその思いを自分の内で留めておけなくなり、外の世界へ。その時点で男はもう大切な変化を終えていて、姿の変化が無くても十分だったように思う。

しかしこの話をそれで終わらせないのが、魚影の存在。
魚影という存在の介入で、男に姿の変化というものが起こった。これは実際過剰な変化であるように思う。極端な変化はリスクを伴う。
今までの内容はこの男だけではなく。全ての人間に起こり得る事象であるのではないだろうか。

結果がどうであるのかは、各々がこの作品を読んだ後にどう感じたかという判断に任せたい。

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