癒される場所

作者 花岡 柊

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★★★ Excellent!!!

4つ年上の彼女のために、彼は、少しだけ背伸びをして、
柔らかな絵を描く彼女のために、優しくなろうと心を砕いて、
愛してやまない彼女のために、いつもそばにいたいと願う。

イラスト、植物、食べ物、飲み物、色、景色、暑さや寒さ。
目に触れるものと手で触れるもの、ひとつひとつが
丁寧な筆致で描き出されて息づいている。

作中では、悲しくて理不尽な出来事も起こるのに、
ほっとするような、温かな読後感に包まれる。
互いに互いを思いやる、安心感のある恋模様がすごく好き。

★★★ Excellent!!!

 物語は現在の1月の冒頭から始まって、3年前の12月。『僕』と片思いの相手フミとの出会うころに続いていく。
 ゆっくりと積み重なる二人の時間。
 距離を詰めたくてもフミには想い人が――――そう思っていつも二の足を踏む主人公。
 独特な感性と言動のフミ、その言動に一喜一憂してしまう主人公の心の距離感がじれつつもなんとも温かいです。

★★ Very Good!!

ドキュメントでないものを文字で表現する時、言い方が悪いがもの書きは「嘘」を如何に上手につくか、でセンスを問われる。
最近流行のラノベなどは「さすがにそんなの現実ではないだろう」というものを開き直って表現し、その突拍子のなさで読む人を驚かせて惹きつける手法で人気を博している。オレ様の拙作もそうなのでお恥ずかしい次第だが。

そして、この作品はそれとはまったく対照的なベクトルで描かれた文学性のある作品である。

失礼ながら内容は地味である。だがドラマのように、傷つきやすい人の気持ち、擦れ違い、恋の苦しさをリアリティ鋭く表現している。そのもどかしさに読者は苦悶しながら目を離すことが出来ないだろう。
作者の創作力の手腕は、おそらくそこらへんのワナビなど足元にも及ばない。
カクヨムの運営は間違いなく受賞の可能性を持った候補のひとつとしてこの作品を挙げるだろう。
少なくともオレ様はそう感じた。

作者にひとつだけお詫びしたいのが手放しで絶賛しながら3つめの星をつけられないこと。
それは文章力が低いとかの話ではなく、読んでいてやり切れなく、それがどうにもおさまりがつかない故なのである。
タイムスリップとかで過去をやり直すとか、空からUFOが降りてきて登場人物たちを洗脳し人間関係を矯正するとか、作品をブチ壊すようなハッピーエンドに無理矢理でもしてくれと言いたいが



…ありえないようなぁ。だが、この胸のモヤモヤを一体どうすりゃいいんだ、おい作者よ!(←お前、何様だよ)何とか出来なかったのか、この話を。ため息が出るような素晴らしい話だけにやり切れん。

頼む、何とかしてくれ。いや、書いた責任があるだろう、何とかしろ。いいな、わかったな、お願いします、この通りです。そうしたら星もうひとつ付けるから!

★★★ Excellent!!!

まず、私は恋愛小説というものをこの作品で初めて最後まで読みました。なので、普段あまり恋愛小説を読まない者の感想として、捉えて頂ければ幸いです。

特筆すべきは主人公の弱さです。
正直に申し上げるなら、読み始めた頃はとても苦痛で、主人公の橘さんに対しても、もっとシャキっとしろよ!と何度も思いました。というか、それは最後までそうでしたが(笑

――ですが、読み進めていくうち。
主人公の持つ弱さや悩みが、かつての自分の体験や思考と重なっていることに気付きます。
主人公に対して感じていたイライラや不快感は、そのまま過去の自分への「もっとシャキッとしろよ!」だったわけです。

それに気付いたとき、この作品への見方はがらりと変わりました。人は誰しも、そうやって自分のペースで、少しずつ前に進んでいくものなんですね。

着色されていない、ありのままの人間模様を描くこの作品を通して、私は過去の自分を優しい気持ちで省みることが出来ました。

ありがとうございました。




★★★ Excellent!!!

語り手である橘くんに興味を持ちました。恋人のフミや、まわりのことばかりを気にしていて、あっちにふらふら、こっちにふらふら。勝手に怒って傷付いて、見ているこっちが疲れてしまいます。
でも、そんな橘くんが、どんな人の中にもいるような、そんな気がしてきます。