少女たちの甘酸っぱくほろ苦い物語

母との確執を取り扱ったものーーという最初の印象は読み進めていくうちにいい意味で崩れた。

登場人物たちの日常を
丁寧に描写し切り取っているので、
感情の変化が滑らかで納得出来る。

澄子は母のようになりたくないという反発心を抱いているが、彼女の言動や行動から母に似ていると思えた。

それを際立たせているのは、
夏帆というキャラクターだ。
彼女の考え方がわりと読者の一般的な考え方に似ているのでそこから安心して読める。以下は本文から。

ーーここからーー
大学が同じなのは構わない。しかし大学が同じだったら、会社も同じ所に入ると言い出すのではないか。近くに住むどころか、二世帯住宅を建てて一緒に暮らそうと言うのではないか。
 それは非常識で怖いと夏帆は思った。
ーーここまでーー

飛ぶというのはあくまでスパイスでしかない。
少女たちの甘酸っぱくほろ苦い成長が読める作品だと思いました。