ゲーマーの思い出を三割増しでくすぐる

仮想世界だけで繰り広げられる話でも、ドラマの取っ掛かりにゲームを採用しただけの話でも、どちらでもない。
ゲーム好きがゲーム好きとして送る青春という、ありそうでなかった物語の予感を覚えます。かつ、主人公がひがんでいたり、現実世界がどうにも厳しかったりというような、ありがちな暗いところがない。
一歩踏み出す力こそあれ、等身大の主人公。彼の視点を借りることで、全体の雰囲気は穏やかながらに、ともすれば小さな疑問が読者としても徐々に気になってくるようでした。