こちらは島津対龍造寺という、九州の覇権を巡る戦いを描いた物語!
ひと言で言い切ってしまうなら、本格派歴史ロマンです。
まず目を惹かれたのは描写の力強さ。
設定やら人物、状況なんかは実に丹念に書き込まれているんですけれども、
それぞれの情景にまるで太い筆を思いきり叩きつけたみたいな迫力があるんですよね。
そしてこの、著者特有の緊迫感が最大に生かされるのはもちろん戦ですよ。
大がかりな戦闘シーンに欠かせない「流れ」をきちんと描きつつ、見せどころはバシっと決める――
うん、実にかっこいいんです!
逆にそこがしっかりしているからこそ、細かい部分が生きるとも言えます。
このへんのメリハリ、戦争系の作品を書かれている方は参考になりますし、好物にされている方は絶対楽しめるクオリティがあります。
歴史好きの人だけに独占していただくにはもったいない一作です!
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)
私、九州男児ですが、戦国時代にこんな戦が有ったとは知りませんでした。龍造寺なんて一族も知りませんでした。面白いですね。
作品の冒頭に小振りの戦闘シーンを配置するのは読者を魅き付ける常套手段ですが、その戦闘がクライマックスの大戦闘に繋がる構成力は御上手です。
全体を通して、戦闘シーンには躍動感が有ります。残念なのはWEB小説だという事。布陣図が有ると、戦局の移ろいがビジュアルに理解できて、もっと面白いと思います。
これは作者の実力不足に因るものではありません。地図で九州南西部の八代湾周辺を見ると分かりますが、込み入った地形をしています。そこを舞台に戦局が推移するのですが、土地勘が無ければ、本作品の展開にイメージが付いて行けません。文章で地形を詳述しても、情報過多で読者の理解力を超えるでしょう。1枚の地図が有れば、それで十分。書籍ならば、その地図と布陣図を読者に提供できるのに...。
叶わぬ願いと知りながら、閲覧者に助言します。google earth と睨めっこしながら読む事を勧めます。