書店で見つけた謎を解くのは無口すぎる探偵

ミステリーといえば「密室殺人!」や「村の因習に見立てられた連続殺人!」といった具合に血生臭いイメージを持つ人も多いかもしれませんが、そういう作品とは別に存在するジャンルとして、「日常の謎」というものがあります。
日常の中で見かけたふとした奇妙な出来事。そんな謎を素人探偵たちが解き明かす。最近では米澤穂信先生の「古典部」シリーズあたりが有名ですね。
そして、本作もその「日常の謎」の系譜に連なる作品。本作品では書店を舞台にして様々な謎が繰り広げられていきます。

「なぜ彼女は同じ本を二度買いに来たのか」「なぜ女子高生の返品騒動が相次ぐのか?」「何本も書店に傘を預けていく女性の真意は?」

そんな気になる謎を解く探偵役は、男子大学生の貴家颯太郎くん。
探偵役としては珍しくびっくりするぐらい無口で何を考えているかわからない彼が導き出す謎の真相とは?

書店を舞台にしているだけあって、どの事件の謎も本に関わるものばかり。
読書家の方ならその意外な真相にハッとすること間違いなし。
一話一話も長すぎず短すぎず、軽い気持ちでサクサクと読める爽やかな短編集です。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=柿崎 憲)

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