神道、キリスト教、北欧神話の超存在同士の爽快、痛快神話アクション活劇

 とにかくテンポよく読みやすい。これに尽きます。

 神道、キリスト教、北欧神話の超存在――神々と悪魔――がそれぞれの勢力が、思惑を抱いて対立、共闘し、派閥を作って戦いを繰り広げるのですが、各神話、神々の事をよく調べ上げたうえでその背景、特質を見事に物語に生かし切っています。

 先に書いた通り、テンポがよく読みやすいのですが、決して手抜きな描写ではない。各登場キャラの背景、性格、感情もきちんと丁寧に描かれていますし、バトルシーンは本当に上手い。上っ面だけでなく、戦いの‘重量感’といったものが伝わり、まさに神々同士どったんばったんくんずほぐれつしているのが眼前に浮かぶようで、テンポ良い文章と共に読むものをのめり込ませます。

 視点の切り替えによる文体の多様さも見事。一本調子でなく、読む者を飽きさせません。

 あと、ぜひ言わねばならないのが、主人公巫女の神子《みこ》ちゃん可愛い。白峰祭神《しらみねさいじん》様との時々憎まれ口叩き合いながらも真に信頼し合った相互関係の繊細な機微を描き出す筆致は見事です。

 相当の実力がある作者さんと思われます。是非一読をお勧めします。

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