概要
六月は、三十日で終わる。――誰も、数えなければ。
六月一日、十年ぶりに故郷・水守町へ帰った私は、死んだはずの人々が町を歩いていることに気づく。
昨日より一人増える人口。閉校したはずの高校。存在しない六月三十一日。そして、十六歳のときに死んだはずの母。
祖母は言った。
「この町では、六月になると死んだ人間が増えるんだよ」
だが、本当に増えていたのは死者ではなかった。
数えてはいけない。
今日が何日なのか、確かめてはいけない。
なぜなら六月とは、季節の名前ではないのだから。
――あなたがこの物語を読み終えたとき、人口はまた一人増える。
昨日より一人増える人口。閉校したはずの高校。存在しない六月三十一日。そして、十六歳のときに死んだはずの母。
祖母は言った。
「この町では、六月になると死んだ人間が増えるんだよ」
だが、本当に増えていたのは死者ではなかった。
数えてはいけない。
今日が何日なのか、確かめてはいけない。
なぜなら六月とは、季節の名前ではないのだから。
――あなたがこの物語を読み終えたとき、人口はまた一人増える。
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