概要
女性士官リタ・クロサキは、AIに頼った言葉や作られた感情を嫌っていた。
精神を侵す謎の生命体エイドロンの出現により、リタは精神世界へ潜航できるアンドロイド、アイリーンと組むことになる。
そこでリタは、心を持たないはずのアイリーンの人間らしい温かさに揺さぶられる。
さらに、昏睡状態の妹エリカと、そのAI人格をめぐり、リタは「本物」と「偽物」の境界に思い悩む。
心とは何か。本物とは何か。
これは、心を押し殺した士官と、心を持たないはずの相棒が、精神世界の戦いの果てに自分たちの答えを選び取る。
近未来SFバディ。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!アンドロイドは軍人少女と夢を見るか?AI時代の名作到来です!
フィリップ・K・ディックの名作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』のテーマは人間とレプリカントの間にある決定的な違い……共感性についてのお話でした。
こちらの作品では、任務を完璧にこなさなければ生きている意味がないとまで思い詰めたリタと……完璧であるはずのアンドロイドなのに、母性とも言えるような揺らぎを持つアイリーンとを……時には対立する存在として、時にはエモーショナルな絆を育む存在として濃密に描くストーリーが展開されます。
アニミズム的な考えでは物体の中にも霊魂が宿っていると言われることもありますね。
AIは素粒子でもないわけですから、物体じゃない。もっと難しい。
アイリーンの魂…続きを読む - ★★★ Excellent!!!少佐、報告があります。
どうやら「心を持たないはずのアンドロイド」が、泣いたそうです。
……はい。俺も最初はバグかと思いました。
ところが違う。どうも誰かさんのために泣いたらしい。
少佐、これってゴーストってやつじゃありませんかね?
「機械に心があるのか」なんて、俺たちがさんざん考えてきた問題を、今度はアンドロイドのほうから持ち込んできやがった。
しかもタイトルからして『精神潜航のアイリーン』。
精神に潜る?
俺なんか潜る前に、電脳の配線図見ただけで頭がショートしそうですよ。
ただ、ひとつだけ確かなことがあります。
泣いた。
それが演算結果だろうが、バグだろうが、ゴーストだろうが――誰かのために…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「本物」と「偽物」の境界で、心を問う物語
「不完全な本物」と「完全な偽物」。
この作品を読んでいて、特に印象に残った表現で素敵だなと思いました。
存在が人工物かどうかではなく、そこにある想いをどう受け取るのか。
「心とは何か」「本物とは何か」というテーマが、物語を通して丁寧に描かれています。
心理描写や場面描写も細やかで、登場人物たちの感情の揺れがしっかり伝わってくるのも魅力。
そして何より、タイトルにある「わたしのために泣いた」という言葉の意味。
読み進めた先で、それがきれいにつながった瞬間は本当に見事でした。
精神潜航という設定だけで終わらず、最後には「想い」そのものが心に残る作品です。