概要
小学生と、むかし小学生だった人に贈る、初秋の成長物語。
「そんな……あたし、むり、むりですって!」
群馬県の中之条町に住む小学五年生の長尾智子は、運動が苦手なのに運動会のバトンガールに選ばれてしまった。
皆の足を引っ張るまいと必死に練習する智子だったが、ある日バトンを「入ってはいけない」と言われている洞窟に落としてしまう。親友の村上吉清と真田伸行の助けを借りて洞窟の中にバトンを拾いに行き、ひとまず安心。
ところが、なぜか次の練習日から、自分でも驚くほどバトン演技が上手になっていた。
どうやら、洞窟の中にあった「自分の手に吸い付くように回しやすいバトン」を、自分のバトンと間違えて持って帰ってきてしまったらしい。
「これは『魔法のバトン』ね!」
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!心をスパンと持っていかれる、極上のジュブナイル小説!
一言で言って、圧倒的な大傑作です。
読み始めてすぐに、登場人物たちの等身大の悩みや、ひたむきに壁に立ち向かう姿に心をスパンと持っていかれました。
本作は、主人公が抱える小さな、しかし本人にとっては世界が崩壊するほど重い「葛藤」を、驚くほどの解像度と温かさで丁寧に描き出しています。子ども社会ならではのリアルな摩擦や、不器用ながらも互いを支え合おうとする仲間たちとの絆が本当に眩しく、気がつけば彼らの一挙手一投足に一喜一憂し、夢中になってページをめくっていました。
そして何より特筆すべきは、物語の「構成力の異常なまでの高さ」です。
ネタバレになるので詳細な展開は伏せますが、序盤から何気なく散り…続きを読む - ★★★ Excellent!!!バトンから広がる友情と少女の成長
運動会の入場行進の練習中に、空高く舞うバトンに心を奪われた智子は、先生に才能を認められてバトン部に入部します。
まず惹きつけられるのは、智子が実に研究熱心で努力家なところです。
動画で研究したり、自分のフォームを撮影したりと、少しでも上達しようと前を向く姿に好感を抱きました。
また友情も温かく、智子の成長を支えていく描写はとても魅力的です。
一つずつ成功するたびに、読みながら智子と一緒に達成感を味わうことができます。
目的への道のりには挫折がつきものですが、そういった描写も丁寧なので、自然と物語の世界に身をゆだねながら読み進めました。
まだ拝読の途中での感想になりますが、時には洞窟…続きを読む - ★★★ Excellent!!!心がじんわりと温まる日常ハートフルドラマ
本作は、日常の愛おしさを引き出す丁寧な筆致で読み手がノスタルジーを感じることができる一作となります。
今はもう懐かしい心象の中の風景を言語化したかのように、大人になった今、この作品に触れることができてうれしいです。
作者様が「強い想い」を込めておられるのか、得意とされるところなのか、友情や家族の絆、自分を信じることの大切さといった、誰もが共感できるメッセージ性が高く、琴線に触れる描写が多いです。
周囲の人々と心を通わせながら小さな奇跡と優しさを繋いでいく本作。
読み終えたあとに心がじんわりと温かくなるような、心地よい余韻に包まれる作品をお好みの方はぜひ一度お読みいただければと思います。…続きを読む