あとがき

あとがき

――「君のことを、誰も知らなくなっても」


 それでも、誰か一人が覚えていれば。


 君は、たしかにこの世界にいた。


Codeコード:Nullナール.Refrainリフレイン ― 依頼者の影編》を、ここまで読んでくださりありがとうございました。

 

 この物語は、名もなき少年・カイルの足跡をたどる旅であり、そしてユイという存在が、“誰かを残す”ことの意味に辿り着くまでの心の記録でもあります。


 この世界では、記録に残らない存在がいくつもいます。


 生まれてすぐ消された者。番号で呼ばれ、感情を奪われた者。


 だれかの意志で、存在そのものが“なかったこと”にされる者たち。


でも――


 記録されなかったからといって、

彼らの痛みや願い、誰かを想った優しさまでもが、消えていい理由にはならないはずです。


 ユイはその想いに、自分の意思で触れました。

 そして残しました。記録ではなく、“記憶”として。


 確かにあった“命の声”を、この世界の片隅に――たとえ誰にも気づかれなくても。


「Null(存在しなかったもの)」に、

「Refrain(残響として残るもの)」を与えること。



 この小さな依頼が、あなたの心のどこかに、

ほんの少しでも残ってくれたのなら――それが何よりの答えです。


 

では、また。

読んで下さった方へ愛を込めて。



 





 

……けれど、ユイが残した“記憶の術式”は、

誰かの中で微かに共鳴を始めていた――。



 

遠く、《巨大企業》の中枢で、静かな兆し。

彼が“何者であるか”を知る旅は――ここから本当の核心へ向かっていく。

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Code:Null.Refrain《依頼者の影編》“In the Shadow of the Requester” 霧間レイ @3051380

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